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高齢化が急速に進む中、新しい高齢者用の賃貸等の住まい「サービス付き高齢者向け住宅」の普及が本格化している。バリアフリー構造や一定の面積・設備、ケアの専門家による見守りサービスなどの基準はあるが、その住宅によって併設されるサービス内容は大きく違う。“サ付き”への入居に当たって何に注意すればよいのか、専門家の中村寿美子氏に聞いた。

元気なときだからこそ考えておきたい
高齢者の住まいのあり方

『サービス付き高齢者向け住宅』は、利用権方式の有料老人ホームと異なり、ほとんどが“賃貸住宅”であることを理解する必要があります。“サ付き”に関して、数多くの相談を受けますが、その多くは、有料老人ホームと勘違いしているケースが多いのです。入居に当たっては、個々の住宅によって違う付帯サービスを正しく理解することが重要です」

 と語るのは、高齢者の住まいに関する相談を長年担当している中村寿美子氏である。

今後10年間で
60万戸を計画

 「サービス付き高齢者向け住宅」は2011年10月、高齢者単身・夫婦世帯が、安心して居住できる賃貸等の住まいとして、国土交通省・厚生労働省が所管する「高齢者住まい法」の改正により創設された登録制度によるもの。制度がつくられた背景には、急速に進む高齢化の中で、介護・医療と連携して高齢者を支援するサービスを提供する住宅の供給が不足していることがあった。

 「現在、特別養護老人ホームへの入居を待機している人たちは約43万人いるともいわれています。一方で介護付き有料老人ホームは、自治体の総量規制などがネックになって数が伸びず、特に都市部では需要と供給のマッチングが上手く進んでいません」(中村氏)。「サービス付き高齢者向け住宅」は、こうした状況下の救世主的な存在として誕生したのである。正確にいうと、従来の「高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)」「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)」の3類型を一本化したものであり、国土交通省・厚生労働省では、今後10年間で60万戸を整備する計画だという。

「安否確認」「生活相談」
が必須のサービス

中村寿美子氏
ニュー・ライフ・フロンティア取締役、有料老人ホーム・介護情報館 館長。30代で夫の両親の介護を経験し、カウンセリングを学ぶ。40歳で都内有料老人ホームに再就職し、120名の高齢者のお世話を経験。現在まで介護や高齢期の住まいに関する相談2万件以上の実績を持つ。2005年から現職。内閣府の規制・制度改革ライフ(医療と介護)分科会ワーキングメンバー(10年度)他。『後悔しない有料老人ホームの選び方がわかる本』(講談社)など、著書多数。

 では「サービス付き高齢者向け住宅」と呼ばれるのはどのようなものなのか。その登録基準は、まず「規模や設備」に関して、各専用部分の床面積が原則25平方メートル以上で、台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室を備えたもの、建物内がバリアフリーであることが条件となる(条件付きで18平方メートル以上とする場合もある)。「サービス」に関しては、「安否確認」と「生活相談」が必須となり、これらを提供するケア専門家が少なくとも日中は建物内に常駐することが義務付けられている。

 こうした登録基準の他に、介護・医療・生活支援サービスが提供または併設されている場合があるが、それは各住宅によって内容が違うので事前の確認が必要になる。

 「“サ付き”には、必ずしも医療サービスは付いていません。ゆえに、医療関係のオプションサービスの確認が重要です」(中村氏)。医療法人が運営する“サ付き”には、多くの場合訪問医療や訪問看護が用意されているという 。“サ付き”のほとんどが賃貸住宅であることを踏まえた選択が必要なのだ。

 一方賃貸住宅ゆえのメリットもある。一般的に「例えば、入居時に敷金を支払いますが、有料老人ホームのように高額な一時金の支払いはありません。比較的少額でリーズナブルな家賃で利用できる点がメリットではないでしょうか。また居室の移動がないこと、時間割りなどに束縛されないで自分の生活ができることなどの利点があります」(中村氏)。

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