高利回りのインカム収入が期待できる商品として注目を集めるJリート。そもそもJリートとはどのような商品で、なにを基準に選べばいいのか。また、今後の見通しはどうなのか。Jリートに詳しいアイビー総研の関大介氏に聞いた。

 2012年初めから堅調な値動きが続くJリート。東京証券取引所に上場する全Jリートを対象とする東証リート指数は、12月3日に1068.89ポイントと終値での年初来高値を更新。年初来騰落率も27.5%となった。

アイビー総研 代表取締役
関 大介氏

不動産会社、外資系生命保険会社を経て、シンクタンクで不動産証券化に関するポータルサイト、J-REIT市場創設後はJ-REIT情報に特化したサイトを運営。2007年に不動産証券化コンサルティングおよび情報提供を行うアイビー総研を設立。

 アイビー総研の関大介氏は、Jリートが買われる背景には、尖閣諸島問題など海外動向で輸出企業を中心に相場環境が悪化したことがあると話す。「国内の不動産を投資対象とするJリートは、収益が為替や海外動向に左右されません。賃料という安定した収益があることに加え、合併やスポンサーの交代で配当の安定性が高まったことも追い風となっています」

リスクオフで売られた
ところは買いのチャンス

 そもそもJリートには、利益の90%以上を配当することで法人税が非課税になるというメリットがある。

「その一方で、内部留保のないことが弱点でした。しかし、09年度の税制改正で、不動産売却益の一部や合併により派生した差益を内部留保できるようになり、それを活用して物件の取得や分配金の安定性を高めることが可能になった。スポンサー企業が交代したことで信用力が高まり、借り入れコストが低下して分配原資が増加したケースもあります」

 東京都心部で大型ビルの竣工が相次ぎ、オフィスの大量供給による市況悪化が懸念された「2012年問題」も落ち着き、不動産市況が回復に向かうとみられることもプラス材料になっている。

「とはいえ、時価総額が4兆円という小さな市場なので、リスクオフの状態になると、配当が安定していようが、収益改善の見込みがあろうが、売られる傾向がある。そこは買い場です」

今ならどの方法で
投資しても期待大

 Jリートに投資する方法には、投資信託、ETF、個別銘柄がある。関氏は「今はどれを選んでも悪くない珍しい局面」だと言う。

「投信は、リートと投信の両方で運用コストがかかる短所があるものの、年初から27%も上昇し、投信の内部留保が増えている可能性がある。今後1年程度をめどに保有し、Jリートの平均を上回る配当を享受するのも手です」。

 少額から購入できるETFは、投資資金が少ない人や、分散投資をしたい人に向いている。個別銘柄は、賃料収入の安定性が高い住居系銘柄に注目したい。

「消費税増税を控えて分譲マンションの建設が優先されているため、賃貸住宅は供給がタイト。稼働率の高い物件では賃料単価の引き上げなど収益向上も期待できます。ホテル銘柄には、合併差益を活用して収益力の高い物件に投資するなどポートフォリオの改善余地もある。投資単位が小さいので、状況を見ながら期間を分散して投資するのがいいでしょう」