プロセスマネジメントを確立している企業は、そうでない企業に比べて増収増益傾向にある――ソフトブレーンの調査から、プロセスマネジメントと収益の相関関係が明らかになった。プロセスマネジメントによって営業活動を見える化し、収益の向上を図ることができるのである。それには、仮説づくりとKPIの設定が欠かせない。プロセスマネジメント導入のポイントについて、2000社以上の企業にコンサルティングを行ってきたソフトブレーングループの野部剛氏が解説する。
増収増益企業の共通点
――「営業チームは頑張っているのに、なかなか成果が上がらない」。営業活動に関して、そんな漠然とした課題を抱えている企業は少なくありません。最大の問題は、どこにあるのでしょうか。
大きな課題がプロセスマネジメントです。「プロセスマネジメントならやっている」と言うマネージャーは多いのですが、ノルマ達成に向かって数字だけを追いかけ、ひたすら部下の尻を叩くという体育会系がほとんどです。
2011年、ソフトブレーンは営業活動の見える化と企業収益との関係について調査しました。これら2つには何らかの関係があるのではないかという仮説を立てて実施した調査です。結果は、これを裏付けるものでした。
営業活動はいくつかのプロセスに分解することができます。営業活動をたとえば「アポを取る」「ニーズをヒアリングする」「提案する」「見積書の提出」「受注」という具合に「プロセス分解したうえで各プロセスの案件数を計測(=営業の見える化)して改善を図る」科学的手法をプロセスマネジメントと言います。
調査において、プロセス分解を行っている企業は全体の60.5%を占めました。その6割と実施していない4割の企業を比べると、2つのグループの収益には大きな違いは見られませんでした(図1を参照)。
次に、もう一歩踏み込んで聞いてみました。プロセスを分解するだけでなく、プロセスマネジメントを実行しているかどうか。実行している企業は全体の45.5%でした。ここで「Yesグループ45.5%」と「Noグループ64.5%」の収益を比較したところ、前者は後者に対して、売上、営業利益ともに増加を予測する企業の割合が10%以上高かったのです(図2、図3を参照)。
以上の調査から言えることは「プロセス分解をしているだけでは、あまり成果を望めない」が、「プロセス分解した上で、見える化し、“計測”し、改善するというプロセスマネジメントを実行すれば効果は高い」ということ。ここでキーになるのが目標に対する先行指標、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)です。
KPIを設定して一定の頻度で計測し、「このやり方は効果が出ている」、あるいは「どうも効果につながらない」といった検証を行い、次の改善につなげる。いわゆる、PDCAサイクルを回していくのです。仮説・検証のサイクルと言ってもいいでしょう。これを実行するかどうかが、収益にインパクトを与えます。