実は、スタートダッシュは得意科目

 このように、実際の使用時の効率を追求したプリウスPHVだが、ただ優れたエコカーというだけではない。プリウスPHVは、走る楽しさで右脳も刺激してくれるのだ。豊田市でのPHV実証実験では「静かで大変スムーズ、EVの力強さに驚いた」という声が寄せられている。

 EVを遅い乗り物だと考えているとすれば、それは誤解だ。エンジンの場合は、ある程度回転数を上げないと力を発揮しない。一方の電気モーターは、電流が流れた瞬間に最大の力を発揮する。したがって発進加速は鋭いし、アクセル操作に対するレスポンスもシャープなのだ。

 たとえば、プリウスPHVをこんな風に使うのもいい。EV/HV切り替えモードをHVモードにして、高速道路では電気をセーブして走る。そしてワインディングロードに到着したところでEVモードに切り替える。すると、これまでのエンジン車では味わえなかった未来的なファン・トゥ・ドライブが体験できるはずだ。ちなみにEVモードでは100km/hまで速度が伸びるから、日本のワインディングロードでは十分である。

 さらに付け加えると、プリウスPHVには従来の自動車の概念を超える可能性がある。車両に蓄えた電力を家庭に供給するシステムの開発も進められており、災害時や、電力インフラのない地域での医療活動など、従来の自動車では考えられなかった活用方法があるのだ。

 価格は305万円からと、プリウスより高価だ。それでもクリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金が最大で45万円支給され、エコカー減税と自動車グリーン税制を考慮すれば最大で約24万2000円の税金が減免される。

 燃費も含めて考えれば、環境にやさしく、人間にやさしいうえに、お財布にもやさしいエコカーだと言えよう。