物価上昇、消費税アップ、年金減額――
デフレ脱却という時代の潮目に押し寄せる“痛み”をどう乗り超えるか。
家計管理、資産形成のコツをプロに聞いた。
「デフレ時代なら最も有効だった“節約+貯蓄”というスタイルが、もはや通用しない時代に突入している」
今後、資産設計を考える上での注意点として、ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんは冒頭のように警告する。
焦点となるのは、物価上昇の動きだ。円安の影響を受け、ガソリンや輸入食品などの価格が上昇しているなか、さらに日銀が掲げるのが2%の物価上昇目標だ。順調に行けば、2年内にその達成が見込まれている。
加えて、14年4月には5%から8%、15年10月には10%と消費税アップも控える。次々に押し寄せる物価上昇の波に、節約はおろか、限りなく0%に近い預金金利だけではまず太刀打ちできない。預金のみに依存していては、「実質的に資産がどんどん目減りしてしまうリスクが高い」(深野さん)というわけだ。
※国民年金は満額、厚生年金は専業主婦の標準的な世帯で計算した
インフレ転換への動きを受け、給料アップを掲げる企業も出ているが、恩恵に与れる人はまだ少数派。教育費や住宅ローンなどの大型支出を抱える現役世代にとっても厳しい状況だが、こうした時代の変化のあおりを強く受けるのがリタイア世代だ。
実は、リタイア世代の唯一の収入である年金が、今後、3段階にわたって減額される(表)。昨今の物価下落に合わせて減額されるべき年金額が、特例措置によりキープされていたのを解消する動きだ。
予定では今年10月に1%、来年4月1%、15年4月0.5%と、1年半で2.5%の減額となる。標準世帯で15年の4月と12年の年金水準を比較すると、なんと月額マイナス7575円。実質的な収入ダウンに物価上昇と消費税アップが加われば、「リタイア世代にとっては手痛いトリプルパンチ」(深野さん)にほかならない。
ではどう対応すればいいのか。