少子高齢社会に生きる現代人が直面している先祖供養とお墓の問題。菩提寺のある人もない人も、入るお墓のある人もない人も、これから先を考えると、ご先祖さまのこと、自分の行く末のこと、何とかしておかなくてはと焦る気持ちがある。最近よく耳にする「都市型永代供養」とはいかなるものか?

山本正人(寺院専門コンサルタント・仏事相談員)
名刹(寺院)の長男として生まれる。そこで寺務室長として寺院運営に携わる。そうした経験を生かし、現在は全国の寺院発展のために特化した「寺院専門サポート」でお寺のコンサルティングを、また「先祖守りサポート」ではお寺選びに関する数多くの個人の相談に乗っている。インダーセンス代表取締役。

 都市部への人口集中が進み、核家族化からお一人さまの時代へと、家族のありようが大きく変化している現代。故郷に代々のお墓はあるが、自分もそこに入ることに躊躇している人も少なくない。親の代までは、菩提寺との付き合いもあったが、自分の代になるときちんと付き合っていく自信がない。跡継ぎがいない、たとえいたとしても後を託すのは忍びないと考える人もいる。そんな時代の先祖供養はこれまでと同じようにはいかないようだ。

「ご先祖をお守りするという一点においても、それぞれのご家庭の事情や仏事に関する考え方の多様化で、混乱しているのが現状だろうと思います」

 と語るのは、寺院の総合コンサルを手がける山本正人氏。

 下の表1をご覧いただきたい。そもそも、「先祖」の捉え方自体が、混沌としているのが見て取れる。

無縁墓になるのは避けたい
現代人のニーズを捉える

「それでも、ご先祖の墓が無縁墓になってもいいと考える人は少数派です。故人を偲びたい、供養していきたいと思う人が大半だろうと思います。供養したいけれど、家庭の事情や経済的な問題がある。養子を取ってでも代々継承していくべきだとは思わない。どうすればよいのだろう? これが現代人の悩みともいえるのです」(山本氏)

 そこで目に付くのが「永代供養」というキーワード。「永代供養付き」の墓や納骨堂を購入すれば、たとえ継承者がいない場合でも安心して墓に入れるというわけだ。