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嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え
【第6回】 2014年4月2日
著者・コラム紹介バックナンバー
岸見一郎 [哲学者]

【原田曜平×岸見一郎 対談】(前編)
渋谷を歩くのをこわがる若者たち

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「若者のあり方」について、まったく別々の方向からアプローチした2冊の本『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健著、ダイヤモンド社)と、『ヤンキー経済』(原田曜平著、幻冬舎新書)が話題となっています。それらの著者である京都在住の哲学者の岸見一郎さんと、博報堂ブランドデザイン若者研究所の原田曜平さんの、Skype対談が実現。アドラー心理学とヤンキー、一見かけはなれた2つの接点が明らかになっていきます。(構成:稲田豊史)

友達に“常時監視”されている
若者たち

原田曜平(以下、原田) お恥ずかしいことに、アドラーという心理学者を『嫌われる勇気』ではじめて知ったので、とても勉強になりました。ここに書かれている対人問題解決の方法論って、僕が長年リサーチ対象にしている若者たちが一番必要としているものじゃないかと思います。ただ、『ヤンキー経済』で取り上げた“マイルドヤンキー”たちは、本というものをほとんど読まないので、マンガにした方がいいのかもしれませんが(笑)。

岸見一郎(以下、岸見) “マイルドヤンキー”というのは、原田さんが本の中で取り上げた、新保守層の若者たちのことですね。

原田曜平(はらだ・ようへい)
1977年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、(株)博報堂入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、現在、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。多摩大学非常勤講師。2003年JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。専門は若者研究で、日本およびアジア各国で若者へのマーケティングや若者向け商品開発を行っている。著書に『近頃の若者はなぜダメなのか』『さとり世代』などがある。

原田 はい。マイルドヤンキーは主に「地元族」と「残存ヤンキー」で構成されています。地元族とは、大人になっても生まれ育った地元に好んで住み、小中学校からの友達とずっとつるみ続け、遊ぶ場所も地元で完結する人たち。ここで言う地元の単位は、小中学校の校区くらいの狭さですね。残存ヤンキーは、改造車や改造バイクに乗ったりする昔ながらのヤンキーの流れをくみますが、昔ほどヤンチャではない人たちです。

岸見 僕のところにカウンセリングに来る青年たちの多くは、原田さんの言うところのマイルドヤンキーとはちょっと違うかもしれませんが、『嫌われる勇気』は、特に悩める若い人たちを対象にしているので、無関係ではありません。この本は、生きづらいと感じている若者たちがどういう風に生きていけばいいか、そのヒントを示したものになっています。マイルドヤンキーの人にも、大いに参考になると思いますよ。ところで原田さんは、どういった経緯で『ヤンキー経済』を書かれたのですか?

原田 2007年くらいから、マーケティング業界では「若者は消費しない」と言われ続けてきましたが、タバコ、パチンコ、車メーカーさんなどが、「そうは言っても彼らに消費の糸口はないのか」ということで、僕が所属する博報堂に頼ってこられたわけです。それを受けて、ここ5年くらい全国の若者調査を重ねたところ、実は若者のなかにもちゃんとお金を使う消費者がいることが判明したんですよ。それがマイルドヤンキーと呼んでいる人たちで、いつか彼らについて本にしたいなと思っていたんです。

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岸見一郎[哲学者]

きしみ・いちろう/1956年京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。専門の哲学(西洋古代哲学、特にプラトン哲学)と並行して、1989年からアドラー心理学を研究。精力的にアドラー心理学や古代哲学の執筆・講演活動、そして精神科医院などで多くの“青年”のカウンセリングを行う。日本アドラー心理学会認定カウンセラー・顧問。


嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え

フロイト、ユングと並ぶ心理学界の三大巨頭とされながら、日本では無名に近いアルフレッド・アドラー。彼はトラウマの存在を否定したうえで、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、対人関係を改善する具体策を示してくれます。まさに村社会的空気のなかで対人関係に悩む日本人にこそ必要な思想と言えるでしょう。本連載では、アドラーの教えのポイントを逐次解説することでわかりやすく伝えます。

「嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え」

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