公共サービスにマーケティングの視点を取り入れた活動が、横浜市で芽を出そうとしている。「オープンデータ」による先進的な取り組みが全国の自治体から注目されている横浜市は、単なるデータの公開に留まらず、企業やNPO(非営利組織)などとの協働・共創によるオープンイノベーションを目指す。地域課題の解決へアクションを生み出すウェブプラットフォームも動き始めた。
活用しやすいフォーマットで
行政のデータを公開
横浜市政策局 政策調整担当理事 長谷川孝氏
横浜市では2014年7月、編集・加工した行政の各種データを活用してもらうため、「よこはまオープンデータカタログ(試行版)」をネット上に開設。本格的なオープンイノベーションに乗り出した。
オープンデータとは、行政が管理するさまざまな情報を、市民や企業が自由に利用できるように、マシンリードしやすい形式で公開すること。これまでにもオープンにされてきた公的データだが、以前はPDFや表などの形だったため、データを取り出して活用することが困難だった。「よこはまオープンデータカタログ」では、男女別人口や地域防災拠点などのデータをCSVやXMLといった使いやすいファイル形式で公開している。
こうした情報公開の中心的役割を担っているのが、政策局の政策支援センターだ。同局の長谷川孝・政策調整担当理事は、取り組みについて次のように話す。
「政策支援センターは、客観的データをもとに地域の課題について調査・研究を行い、横浜市全体の政策を考えるのがミッションです。たとえば、市民生活白書や調査季報を約50年にわたって発行したり、市民意識調査を40年以上実施するなど、データに基づいて市民サービスを向上させる取り組みを長年行っています」