神道や仏教など、伝統宗教から発展した新宗教。檀家や氏子などを抱える伝統宗教と違い、組織を維持・運営をしていくための費用は自ら稼ぎ出さなければなりません。それゆえに、それぞれの新宗教が、独自に集金システムを作り上げてきました。
その中心は、信者の寄付やお布施などですが、さすがは宗教パワー。その額は計り知れないと言われます。おまけに、「信教の自由」を盾に公開の義務がないことでさまざまな憶測を呼び、なかには数十兆円が蠢いているという説もあります。
そこで今回、新宗教を中心とした「宗教マネー」に焦点を当て、さまざまな角度から取材、実態に迫りました。
まずは、“幸福の科学”“真如苑”“創価学会”の三大宗教について、信者獲得のノウハウから集金システムに至るまで徹底的に分析しました。
加えて、新宗教100法人について入会金、年会費といった初年度にかかる費用を、一挙大公開します。アンケートや電話調査に対し、ほとんどの宗教法人がつれない返事しか返してくれませんでしたが、そこは本誌記者が必死の取材で明らかにしました。必見です。
こうしたフローの収入に加え、保有している資産についても独自に試算しました。前述の三大新宗教が東京都内に保有する不動産をはじめ、全国の新宗教系美術館が抱える美術品までまとめています。
こうした巨大マネーに引きつけられる人たちもたくさんいます。銀行、証券、保険、ゼネコン……。その姿は、おこぼれをいただき、おいしい思いをしようという。まるで「コバンザメ」のようです。
いつしか切っても切り離せなくなった“宗教とカネ”ですが、実は大きな転換期を迎えています。というのも、収入源であった信者の数が減少の一途をたどっているからです。宗教離れが進み、「スピリチュアル」という新しいブームが巻き起こっている影響です。
こうした転換期に新宗教はどうあるべきか、伝統宗教の超大物、比叡山延暦寺の長臈(ちょうろう)と天台宗の顧問に提言してもらました。
「地獄の沙汰もカネ次第」という言葉がありますが、新宗教が追い込まれている環境も同じかもしれません。カネがなければ大きな宗教法人を維持するのは難しくなり、十分な布教活動や信仰活動もできにくくなってしまいます。
これからの宗教界の未来を占う意味でも、ご一読いただければ幸いです。
(『週刊ダイヤモンド』 新宗教特別取材班)