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金融市場異論百出

FRBの国債大量購入策にネズミ講との批判まで続々

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2010年11月17日
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 FRBが決めた6000億ドルの国債購入策が政治問題と化してきた。ユーロ圏、ロシア、ブラジル、中国など世界各国から激しい反発が噴出している。オバマ大統領までが批判の声を鎮めようと懸命に説明を行っている。

 前アラスカ州知事のサラ・ペイリンは、バーナンキはこの政策を即刻停止しろと激しく攻撃している。一部の米メディアは、デフレが心配なときにインフレを心配するペイリンは的はずれだと批判しているが、彼女は意外に本質的なことを言っていた。「われわれは、一時的な偽りの経済成長でインフレを起こしてほしいとは思っていない。真の経済改革を伴った堅実なドルを欲している」。

 多くの市場参加者と同様、FRB幹部も、内心は国債購入による長期金利低下が経済を着実に浮揚させる効果は限定的と考えているだろう。米家計は深刻なバランスシート問題や雇用不安を抱える。金利が制約になって、住宅投資や消費の伸びが抑えられているわけではない。また、銀行は1兆ドルという途方もない超過準備を抱えつつ、「貸し出し・リース」を減少させている。9月も年率7.1%のマイナスだ。そこに新たに超過準備を加えても、銀行の行動は変わらないとFRBも見ているようだ。

 それでもFRBがこの政策を決定したのは、それが心理的に株価を上昇させたり、ドル安効果をもたらしたりすることを期待したからだろう。ピムコのビル・グロスは国債購入策を「ネズミ講のようなもの」と酷評している。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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