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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

雇用改善のキーワードは“トリクルダウン”
菅内閣は「一に産業、二に外需、三に雇用」を目指せ
――森田京平・バークレイズ・キャピタル証券 ディレクター/チーフエコノミスト

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第2回】 2010年12月1日
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 菅首相は、民主党代表戦中に「一に雇用、二に雇用、三に雇用」というフレーズで、自らの政策姿勢をアピールした。しかし、雇用はそれ自体で自らに対する需要を生み出すことはできない。産業競争力の強化に裏付けられた国内企業活動の活性化こそが、必要条件となる。

 本稿では、海外経済との連関を意識しながら、日本経済の現状を俯瞰する。海外経済との結びつきを深め、かつ広げることが今後の経済成長を図る上で欠かせないことを強調する。

 ポイントは、内需産業の外需産業化、法人税率の戦略的な引き下げなどを全面に出した「一に産業、二に外需、三に雇用」の政策。キーワードは「トリクルダウン」(trickle down)である。

日本経済は減速しながらも回復
「雇用」も緩やかに改善している

 日本経済は、減速しながらも景気回復が続いている。こうしたなか、潜在GDP(=供給能力)と実際のGDP(=需要)の差である需給ギャップも縮小している。内閣府の試算によると、直近7-9月期の需給ギャップは-3.5%となった。このマイナス幅、つまり需要不足幅は2008年7-9月期以来の小ささであり、景気の回復をマクロ面から示している。

 この需給ギャップに、半年から1年程度遅行するのが失業率。失業率も2009年半ば以降、緩やかに改善している。需給ギャップが財・サービスの需給、失業率が労働力の需給を表すことを踏まえると、足元で財・サービスと労働力の需給の改善が、同時進行していることになる。

雇用環境の改善はどこまで進むか?
失業率は構造要因が8割、循環要因が2割

 ただし、問題はどこまで雇用環境の改善が進むかだ。これは、失業率が循環要因と構造要因によってどの程度説明できるか、という問題に帰結する。

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森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

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