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2006年、中央防災会議は東京湾北部を震源とする首都直下型地震に対して、経済的な被害想定額を約112兆円(※)と試算した。しかし、地震の直接的な被害が単発で終わらず、風水害や疾病などが加わる複合災害も懸念される。近年の都市災害の特徴と、企業の経営者・防災担当者の心構えについて、災害予防を専門とする首都大学東京の中林一樹教授に聞いた。

21世紀型の
新たな都市災害と
企業の地震対策

首都大学東京都市環境学部・同大学院都市環境科学研究科 中林一樹教授(なかばやし・いつき)・工学博士。都市防災全般、特に災害予防と復興の観点からの都市づくり、街づくりに関する研究を専門とする。(協力:東京臨海広域防災公園)

 地震の揺れで建物などやライフラインが被災し、停電や火災で被害が拡大する。その数日後に、風水害が発生し被害が増幅する。これは21世紀の都市災害の一つの姿であり警戒を要すべき、と指摘するのは首都大学東京都市環境学部教授の中林一樹氏だ。

 「1995年の阪神淡路大震災では、大阪府の新淀川の堤防で3.5メートル沈下したところがありました。幸いにも、地震後約10年間、大雨やゲリラ豪雨による増水がなくて水害による被害の複合化は免れましたが」

 文部科学省、気象庁、環境省による『日本の気候変動とその影響』(2009年)によれば、1時間に50ミリ以上の短時間強雨が発生した件数は、98~08年平均で1000地点当たりの発生件数に換算して238件と、87~97年の平均177件を34%上回っている。地震で被災し堤防や斜面の地盤も緩んでいるときの豪雨には、特に注意が必要なのだ。

 通常、企業の自家発電など電気系統の多くは地下に備えられていて、地震の揺れには耐えられても、水害には弱く企業活動に支障を来すこともある。

 「地震による直接的な災害、そこに重なる風水害、さらに避難所などでのインフルエンザをはじめとする疾病の流行にまで目を向けておく必要があります」

※冬18時、風速15メートル/秒の場合。同風速3メートル/秒の場合の経済被害は約94兆円。
 
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