ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

牛丼1杯が豪華な食事、就労後も貧困を抜け出せない障害者の日常

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【第70回】 2016年11月11日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

2013年1月に決定された生活保護基準引き下げ(2013年8月より実施)は、就労支援の促進と並行して行われている。生活保護基準を引き下げ、就労モチベーションを高めれば、働かない人々が働くようになるのだろうか。

生活保護費削減の一方で
「稼げば収入が増える」は本当か?

生活保護基準を引き下げ、就労モチベーションを高めれば、働かない人々は働くようになるのか。障害者作業所に集まる人々の生活とは

 2013年1月に決定された生活保護基準引き下げ(2013年8月より実施)は、就労支援の促進とセットになっていた。もしも「生活保護があるから甘えてしまい、働ける人まで働かなくなる」という俗説が事実ならば、生活保護基準の引き下げは、そのまま就労につながることになる。 2013年12月、生活保護法改正とともに成立した生活困窮者自立支援法によって、就労促進の制度化も行われている。

 では、生活保護基準引き下げは、本当に就労を促進しているのだろうか。今回は、「働ける・働けない・働く・働かない」の差が紙一重になりがちな精神障害者の就労を中心に、変化の様子を見てみたい。

 はじめに、下の表を見ていただきたい。一連の生活保護基準引き下げの直前にあたる2012年と、生活費・家賃補助・暖房費・その他細かな引き下げが行われた後の2016年で、単身者に対する生活保護での生活費がどのように変化したかを示している。

 地域は「2級地-1」だ。生活保護制度では、自治体は生活コストに応じて6区分されており、「2級地-1」は高い方から3番目にあたる。栃木県宇都宮市・富山県富山市・愛媛県松山市など、県庁所在市(政令指定都市を除く)の相当数が該当する区分だ。年齢は、金額が最多となる20~40歳とした。

 健常者または障害者(障害等級3級)に対しては中心の「生活費合計(障害者加算なし)」が、障害者(障害等級1・2級)に対しては右側の「生活費合計(障害者加算あり)」の金額となる。

 2012年から2016年にかけ、障害者加算がない場合、月々の生活費は4650円減少した。障害者加算がある場合も、5150円の減少となっている。「100万円が99万5000円になった」という場合とは次元の違う節約、または次元の違う収入増加が必要になるはずの場面だ。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

「生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ」

⇒バックナンバー一覧