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情報戦の裏側

東芝「原発広報の異常さ」から見える危機の前兆

窪田順生 [ノンフィクションライター]
【第11回】 2017年2月9日
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いきなり7000億円もの巨額損失を出した東芝の原発事業。経営陣がどこで何を間違えたのか、さまざまな専門家が分析を試みている。ここでは、経営陣のものの考え方がダイレクトに出る企業の「広報活動」から、東芝経営陣の原発事業に対する歪んだスタンスを分析してみよう。(ノンフィクションライター 窪田順生)

「寝耳に水」か「確信犯」か
東芝危機の本質

 わかっちゃいるけどやめられない――。そんな「スーダラ節」で歌われるような「中毒体質」になっていたということなのか。

 連日のように世間を賑わす東芝の「危機」。アナリストや専門家が、かねてから「リスク」だと指摘してきた原発事業が火を噴いたということもあって、さまざまな「憶測」が飛び交っている。

東芝の経営危機は、明らかに劣勢に立たされても真実を直視せず、現場の兵士たちを捨て駒にした太平洋戦争末期の日本軍の失敗と重なる Photo:Reuters/AFLO

 そのなかのひとつが、「経営陣は、今回の巨額損失は直前に知らされたと言っているが、実は故意犯だったのではないか」というものだ。

 その根拠として挙げられるのが、今回の「危機」を招いている米原発建設会社「CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)」へのあまりにもザルすぎた損失評価だ。

 ご存じのように、東芝の子会社ウエスチングハウスがS&Wを「0ドル」で買収した際、「のれん代」を105億円とみていたが、今回よくよく精査したところ最大7000億になることがわかったという。「寝耳に水でした」なんて釈明が通るレベルではない。

 東芝は、現場にプレッシャーをかけて数字をかさ上げさせるという、日本企業らしい忖度文化を活用した粉飾の「前科」もある。小学校の教室で給食費がなくなったら、万引き常習犯の児童が、どうしても真っ先に疑われてしまうように、「どうせ今回も隠し通せなくなったからゲロったんでしょ」という目で見られるのも致し方がない。

 ただ、個人的には、東芝の経営陣がそこまで意図的に世を欺こうとか、リスクにフタをしようなどとは思っていなかったのではないか、とみている。

 根拠は、東芝の「広報」だ。

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窪田順生 [ノンフィクションライター]

くぼた・まさき/テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで200件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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できれば起きてほしくない「不祥事」だが、起きてしまった後でも正しい広報戦略さえ取れば、傷を最小限に済ませることができる。企業不祥事はもちろん、政治家の選挙戦略、芸能人の不倫ネタまで、あらゆる事象の背後にある「情報戦」を読み解く。

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