東日本大震災で出張を延期していたが、現在、欧州の金融市場を訪問している最中である。東京で箱崎シティエアターミナルまでタクシーに乗ったとき、運転手に「海外はどちら?」と聞かれた。「ロンドン」と答えたら、「いいなあ、空気のいいところは」と言われた。ロンドンといえば、かつてはスモッグで悪名高かったのだが。
ロンドンには日本の大震災のニュースに詳しい人が予想以上に多い。こちらが日本人だとわかると、タクシー運転手や雑貨屋の店員などは皆、気の毒そうな顔で見舞いの言葉をかけてくれる。「日本では魚が食べられなくなったんだろ」と言われることもある。
親しい英国人のエコノミストに会いに行った際、彼は私の親戚が津波で亡くなったことに深いお悔やみの言葉を述べてくれた。彼のオフィスに入るとき、彼は「ちょっと待て」と制して、黒い小型の機器を私の肩に押し付け、「放射線を測ろう」と言った。よく見たらiPhoneだった。「ジョーク、ジョーク、ガイガーカウンターのアプリはまだ出てない」と笑った。
ソフトだけでそんな機能を持たせることは不可能だが、仮にガイガーカウンター付きのスマートフォンが発売されたら、日本だけでなく、原発問題に敏感なドイツでも爆発的に売れそうだ。