ジャンパー事件を「そんなものだ」で
済ませなかった小田原市
今年1月、小田原市の生活保護ケースワーカーが「チーム保護」「保護なめんな」とプリントした揃いのジャンパーを作り、10年間にわたって市庁舎内・市庁舎外で業務に就いていたことが報道され、大きな話題となった。ジャンパー着用のまま行っていた庁外業務の中には、生活保護で暮らす世帯への訪問調査も含まれていた。このことは、結果として近隣に「生活保護バレ」するリスクを含んでいる。「援助する仕事」という意識で制度運用を行っている福祉事務所では、生活保護ケースワーカーであることが分かる「見た目」どころか、役所の人間であることが分かる言動も避けるように指導するものだからだ。
正直なところ、この報道に接した私は「ああ、またか」と思った、生活保護で暮らしている人々が、ケースワーカーに「努力不足」「自己責任」「何か悪いことをしているのでは」という視線や態度や言葉を浴びせられた話自体は、少しも珍しくないからだ。そういったことが皆無に近い地域も若干はあるが、「また○○市か」という地域も多い。「なめんな」と書いたジャンパーを着ていなくても、態度や言葉で言ったり示したりしていれば、同じことではないか。
しかし1月中には、生活保護問題対策全国会議をはじめとする団体の申し入れが行われた。また、報道が鎮静する気配はなく、次から次へと「ジャンパーだけではなく夏服も」「グッズも」といった新事実が報道された。小田原市は事態を軽視せず、「生活保護行政のあり方検討会(以下、検討会)」の開催を決定した。全4回が予定されている検討会は、先月、2月28日に第1回、3月4日に第2回、3月14日に第3回が開催され、3月25日に予定されている第4回で一応の終了となる。
スピード開催、当事者を有識者として起用
異例づくしの検討会
報道の翌月からの検討会開催、年度内に取りまとめると推察されるスケジュール。「役所」の対応としては、特筆すべきスピード感ではないだろうか。