政府は、日本銀行の金融政策を決める政策委員会の審議委員に三菱UFJリサーチ&コンサルティング上席主任研究員の片岡剛士氏と、三菱東京UFJ銀行取締役の鈴木人司氏を充てる人事案を国会に提示した。退任する2人の委員は、黒田日銀になってからの大規模金融緩和路線には批判的だった。この人事が承認されれば、審議委員6人はほぼ、量的緩和に積極的なリフレ的な人になった。日銀の金融政策にどのような影響が出る可能性があるだろうか。

大規模緩和、批判の2人は退任
審議委員6人はほぼリフレ派

 日銀審議委員は6人であるが、今回2名が交代すると、安倍政権になってから民主党政権時代に任命されていた6人全員が入れ替わることとなる。今回の人事が承認されると、6人の出身は、学者・エコノミスト3人、産業界1人、金融界2人となる。

 今回、退任する2人は、大規模な金融緩和に批判的ないわゆる「デフレ派」である。

 これまで安倍政権で任命された4人は、リフレ的な政策を理解していた。今回、人事案に示されている片岡氏はバリバリのリフレ派である。鈴木氏は、久々のメガバンク枠であり、マイナス金利には多少、批判的である。その意味で、今回の人事はバランスをある程度とっているが、審議委員6人はほぼリフレ的な人になった。

 筆者は、岩田日銀副総裁とは出身高校の先輩後輩関係もあり、これまで長くお付き合いがある。また、審議委員のうち、原田、櫻井、今度の片岡の各氏とも、同じリフレ派同士としてこれまでお付き合いいただいている。その人柄や力量も十分に承知しているが、金融政策を間違いなく行えるメンバーだ。