私たちの体の中には、「体内時計」と呼ばれる時間が備わっています。
この体内時計を動かす源にあるのが「時計遺伝子」(体内時計をつかさどる遺伝子群)で、私たち人間の体はこの遺伝子によって、目覚める、お腹が減る、眠くなる、などといった生きるための基本的なリズムを刻んでいます。人体の活動の多くは時計遺伝子によって支配されているといってもいいかもしれません。
この時計遺伝子の働きに基づいた時間医学、時間栄養学といった最新の科学的知見をベースにしながら、体内時計に従って日々、常に快適で効率よく過ごす秘訣を紹介していきます。

仕事がはかどるゴールデンタイムは1日2度ある

仕事がはかどるゴールデンタイムは
1日に2度ある

 1日8時間、残業があれば10時間以上働き続けるという人も多いと思いますが、それだけの長時間ずっと集中するのはさすがに無理というもの。決められた作業を効率よく進めたり、いいアイディアを出したり、会議で活発な意見を出したり、そうした能力もまた体内時計のリズムの影響を受けており、1日の中でも「仕事がはかどりやすい」時間が存在します。ただやみくもに頑張るのではなく、体のリズムに沿っていったほうが、能力は引き出されやすいのです。

 1日のうちで仕事がはかどる最初のピークは、午前中の8~10時です。
 ここには、睡眠中の脳の働きが関わっています。
 睡眠中の脳は、浅い眠りである「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」を繰り返していることが知られていますが、この過程で脳にたまった老廃物が取り除かれ、リフレッシュされます。しっかり睡眠をとり、脳がリフレッシュされていれば、それだけで午前中は脳が自然と活性化し始める時間帯なのです。
 まだ体温が十分に上がっていない午前中は、激しく体を動かすにはあまり適していませんが、脳を働かせるデスクワークに関してはスタートダッシュにもってこいの時間にあたります。

 では、次の「仕事がはかどるピーク」は何時でしょうか。