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香山リカの「こころの復興」で大切なこと
【号外】 2011年7月5日
著者・コラム紹介バックナンバー
香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

前回のコラムについて
――お詫びと補足

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 前回のコラムについて多くの方から批判的なご意見をいただき、言いたかったことの真意がうまく伝わっていなかったことに気づきました。私の言葉足らずが招いたことです。

 これまでいくつかの雑誌や集会で表明してきたように、私自身は脱原発の立場にあり、小出裕章氏の著作、ご発言をほぼ全面的に信頼し、これまでのご活動にも深い尊敬の念を抱いています。前回のコラムが、小出氏のお仕事の価値を否定する内容に受け取られるものだったとしたら、小出氏ならびに読者のみなさまには本当に申し訳なく思います。心からおわびいたします。

 ここからは謝罪からは少し離れ、私が伝えたかったことを補足させていただきます。

 とても個人的な話になるので、うまく補足になるか、さらに批判を招くものか、自信がないのですが、よろしければお読みください。

 原発事故が発生して以来、放射線医学の専門家でもない私ですが、なんとか精神医学という自分の専門性を生かして、原発の危険性や脱原発の必要性を訴えることができないかと、ずっと考えてきました。

 しかし、そう考えて原発について情報を集めたり基礎的な知識を学んだりしようとすればするほど、自分の関心が本質からずれて行ってしまうのを感じていました。つまり、原発問題を純粋に考えていたところ、この原発問題を含む領域の広さにひとつの小宇宙を感じたひとりは、他ならぬ私だったのです。この当初の使命感を超えて関心を示している自分の心理は何なのか。これが出発点でした。

 実は、まわりの人たちからも同様の話――つまり、あの事故以来、いつもの自分ではいられなくなったということ――をいくつも聞きました。 

 このあたりはうまく説明する言葉をまだ見つけられずにいるのですが、どうもそれは、現実としての原発事故や脱原発とはまた位相の違う世界で起きている“心の問題”のようにも思われました。

 これは、いったい何なのか。原発問題の恐怖や不安といった現実の問題を超えて存在する、「原発問題がもたらす心の変化」とは何なのか。

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香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

1960年北海道札幌市生まれ。東京医科大学卒業。豊富な臨床経験を生かし、現代人の心の問題のほか、政治・社会評論、サブカルチャー批評など幅広いジャンルで活躍する。著書に『しがみつかない生き方』『親子という病』など多数。


香山リカの「こころの復興」で大切なこと

震災によって多くの人が衝撃的な体験をし、その傷はいまだ癒されていない。いまなお不安感に苛まれている人。余震や原発事故処理の経過などに神経を尖らせている人。無気力感が続いている人。また、普段以上に張り切っている人。その反応はまちまちだが、現実をはるかに超えた経験をしたことで、多く人が異常事態への反応を示しているのではないだろうか。この連載では、精神科医の香山リカさんが、「こころの異変」にどのように対応し「こころの復興」の上で大切なことは何かについて語る。

「香山リカの「こころの復興」で大切なこと」

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