いま日本で、最も有名な公務員と言えば、経産省の古賀茂明氏であろう。その著書『日本中枢の崩壊』(講談社)は、公務員制度改革が官僚たちの抵抗と政治過程の中で、いかに骨抜きになっていったかを描き、36万部の大ベストセラーとなっている。
一方、高橋洋一嘉悦大学教授は元財務官僚で、小泉政権時代には竹中平蔵総務大臣の補佐官を務め、続く安倍、福田政権では公務員制度改革に、内閣の内と外から関わってきた。いわば、公務員制度改革の先達である。こちらも、『さらば財務省』(講談社)、『霞が関をぶっ壊せ』(東洋経済新報社)で、官僚の生態と公務員制度改革の必要性を鋭く説いている。
公務員制度改革の真実を知る二人が、公務員制度改革の必要性、官僚たちの抵抗、政治の実態について、縦横無尽に語り合った。前半は、今回の公務員改革のスタートから、麻生政権下で、国家公務員法改正案が、廃案に追い込まれるまでを語る。
(撮影/宇佐見利明)
安倍政権の第1段ロケットと
福田政権の第2段ロケット
司会 最初に、お二人がどのように公務員制度改革に関わってこられたかから、お話しください。まずは、改革の先輩である高橋さんのほうから……。
高橋 公務員改革は非常に重要ですが、これをやると他の仕事ができなくなるかもしれないからというので、各歴代内閣がほとんど手をつけてきませんでしたね。あの小泉(純一郎元首相)さんですら、公務員改革は必要だけれど、まず郵政民営化と言って、結果的にはほとんど何もできなかった。