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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

日本経済に見る「日本化」現象とその先に待つもの
――森田京平・バークレイズ・キャピタル証券
ディレクター/チーフエコノミスト

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]
【第39回】 2011年9月21日
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「日本化」の先を行く日本

 「日本化」(Japanization)という表現が、市場やメディアをにぎわせている。しかし、そこは「問題先進国」の日本。簡単には他の追随を許さない。

 日本自身の抱える問題自体がどんどん様相を変え、深刻度を増している。他国が「日本化」するとしても、日本自身は新たな「日本化」のフロンティア(?)を切り開くことであろう。

 以下では、日本の実体経済、金融、財政政策、金融政策それぞれに見られる「日本化」現象の象徴的な側面を概観し、その上で「日本化」の先に待つものを展望する。

 一例として、「高齢化」と「日本版エクソダス」(産業の脱日本)による経常収支黒字の消滅リスクを取り上げる。そのリスクが視野に入った途端に、いよいよ日本経済が“Going Concern(継続企業)”であるかを真剣に問わなくてはならなくなる。

実体経済に見る「日本化」(1)
初期段階の「3つの過剰の処理」は90年代に終了

 1990年代初頭、日本のバブルは破裂した。その後の日本経済は、実に多くの側面で強い調整圧力に晒された。そのうち最も象徴的なのが、いわゆる「3つの過剰」(過剰債務、過剰設備、過剰雇用)の処理であろう。

 中でも過剰債務と過剰設備の処理は、「バランスシート調整」と呼ばれ、バブル崩壊後の日本経済を象徴する表現として使われてきた。

 「バランスシート調整」は、キャッシュフローと設備投資の関係、あるいは金利と設備投資の関係を一変させた。1980年代までは「キャッシュフローの増加→設備投資の増加」「金利の低下→設備投資の増加」という関係が見られた。とりわけ、日本では前者の関係が強く見られた。

 ところが、1990年代に入ると「キャッシュフローの増加→債務の削減」「金利の低下→設備投資に影響せず」という関係が出現した。その結果、利下げという形での金融緩和が実体経済を刺激する経路が、極めて細くなってしまった。

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島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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