経営 X 人事

ヤフーの人材育成「1on1」のせいで社員が辞めてしまう?

ヤフーの人材育成手法「1on1」は、社員の『才能と情熱を解き放つ』のが目的の一つ。しかし、対話を通して、「自分が本当にやりたいこと」に気づいてしまった社員は、それが実現できる場所を求めて会社を辞めることにはならないか。「寝た子を起こす」リスクと、その回避策・解消策について説明する。

(写真はイメージです)

社員が「本当にやりたいこと」に気づいてしまったとき

 今回は、ヤフー社外からいただいたご相談例の紹介から始めたいと思います。ご相談いただいた方は、ご自身が所属する会社で「1on1」を導入したいと考え、部署単位ではトライアルを始めているとのこと。さらに拡大すべく、社内外で積極的にヒアリングを行うなど、とても熱心に活動されている方でした。

相談の内容は以下のようなものでした。

 ヤフーさんが「1on1」を導入した目的には、『経験学習を促進する』と『才能と情熱を解き放つ』の2つがあると伺っています。前者については、社員の成長を促すのに有効だという点でとても納得度が高いです。しかし、後者については少々不安な面もあります。といいますのは、弊社内で1on1について意見交換をしていたところ、複数の管理職の者から、以下のような疑問が出てきました。

「部下に対し、1on1で問いかけを続けたせいで、『自分がやりたい仕事はこの会社にない』という結論に至って退職に繋がるリスクはないのだろうか。もしそんな社員が続出したら、会社としてダメージは大きい」

 私は1on1推進派ですが、この発言に対し、なんのコメントも返すことができませんでした。ヤフーさんでは、こうした懸念は生じていないのでしょうか。あるいは、なんらかの方策を講じているのでしょうか。

 実際、ヤフー社内でも同じような声はときどき耳にします。1on1でキャリアについて掘り下げていくうちに「やりたいこと」に気づいてしまった社員が、開眼して転職してしまうという話です。

 正直言えば、ヤフーでもそのようなケースが生じる懸念は否定できません。もし、会社規模が小さくて、事業領域や職種が限られている場合、この懸念はなおさらだと察します。

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ヤフーの人材育成「1on1」の舞台裏

人事の領域で職場内コミュニケーションの手法として関心を集めつつあるヤフーの1on1ミーティング。3月に仕掛け人である同社上級執行役員・本間浩輔氏による『ヤフーの1on1』(ダイヤモンド社)が刊行され、そのノウハウが明らかにされた。本連載は、本に書き切れなかった1on1のあれこれを、本間氏とともに社内での普及を進めたスタッフである吉澤幸太氏に語ってもらう。

「ヤフーの人材育成「1on1」の舞台裏」

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