経営 × 人事評価

ヤフーはなぜ6000人の社員を巻き込む
「1on1ミーティング」を続けるのか?

間杉俊彦 [ダイヤモンド社 人材開発編集部副部長]
2017年10月4日
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ヤフーが2012年から続ける「1on1ミーティング」は、上司と部下が毎週1回、30分間行う対話である。部下の数によっては、週の仕事の半分近くが1on1で占められるケースもあるという、この1on1、一体、何を目指して実践されているのだろうか。

半期に一回の「面談」とはまったく違う

 ヤフーが2012年から全社で実施している「1on1ミーティング」が、産業界で注目を集めている。

 1on1は文字通り、上司と部下による1対1の対話であるが、多くの企業で行われる「業績面談」などとは、大きく異なっている。

 例えば、ヤフーの1on1は原則として週1回、30分程度かけて行われる。通常の面談は、おそらく半期や四半期に一回というペースだろう。まずは頻度がまったく違うのである。

 一方、対話のあり方も違う。

 業績面談の場合、目標を達成したかどうかを確認し、部下の仕事ぶりに対してフィードバックを行う、というのが一般的だろう。往々にして、それに上司の訓示や激励、あるいは指導や経験談の開陳もあるかもしれない。

 ヤフーの1on1は、そうではない。なによりも特徴的なのが、1on1は「部下のための時間」と明確に定義づけられていることだ。

 毎週1回、30分の対話は、基本的には部下が自分の考えを話すことで進められる。上司は、なかなか言葉にならない部下の思いを引き出す努力はするものの、結論を先取りしたり、決めつけたりはしない。

 その30分で上司は部下の業務の進捗確認を行い、また問題解決をサポートする。そして、これが1on1の最大の狙いだが、対話を通して部下の目標支援と成長支援を行うのである。

 そのコミュニケーションが目標支援と成長支援につながるように、マネジャーたちはコーチング研修を受けて「傾聴」のし方を学び、有効な「フィードバック」の手法を身につける。

 端的に言えば、ヤフーの1on1は人材育成を目的とする上司と部下との対話なのである。

1on1の根底にある考え「コミュニケーションは頻度が大事」

 上司と部下がわざわざ時間を取って行う1on1は、有体に言えば面倒なものだろう。「毎週、時間を取ることなどできない」「毎週1回なんて、そんなに話すことなどない」といった意見もあるに違いない。

 軽くはない負担は覚悟の上で、ヤフーが毎週、1on1を実践するのはなぜか。制度導入の中心人物である本間浩輔・上級執行役員 コーポレート長は次のように説明する。

 「半年に1回飲み会をするよりも3カ月に一回ランチを食べる方がいいし、3カ月に1回ランチを食べるよりも毎月1回1時間話した方がいい。毎月1回1時間話すよりも毎週15分づつ話した方がいい。コミュニケーションは頻度が大事です」(本間浩輔著『ヤフーの1on1』より)

本間浩輔(ほんまこうすけ)ヤフー株式会社コーポレートグループ長
1968年神奈川県生まれ。早稲田大学卒業後、野村総合研究所に入社。コンサルタントを経て、後にヤフーに買収されることになるスポーツナビ(現ワイズ・スポーツ)の創業に参画。2002年に同社がヤフーの傘下入りをした後は。主にヤフースポーツのプロデューサーを担当。2012年に社長室ピープル・デベロップメント本部長、2014年にコーポレート統括本部長を経て、現職。著書に『会社の中はジレンマだらけ 現場マネジャー「決断」のトレーニング』(中原淳・東京大学大学院准教授との共著。光文社新書)、『ヤフーの1on1』(ダイヤモンド社)など。ヤフーで1on1の普及に尽力した本間浩輔(ほんま こうすけ)コーポレートグループ長。著書に『会社の中はジレンマだらけ 現場マネジャー「決断」のトレーニング』(中原淳・東京大学大学院准教授との共著。光文社新書)、『ヤフーの1on1』(ダイヤモンド社)など。

 このような高頻度のコミュニケーションがもたらすメリットは、いくつもある。

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間杉俊彦 [ダイヤモンド社 人材開発編集部副部長]

1961年、東京都生まれ。1986年 、早稲田大学第一文学部文芸専修卒業、ダイヤモンド社入社。週刊ダイヤモンド編集部に配属され、以後、記者として流通、家電、化学・医薬品、運輸サービスなどの各業界を担当。2000年 週刊ダイヤモンド副編集長。2006年 人材開発編集部副部長。著書に『だから若手が辞めていく』(ダイヤモンド社刊)

 


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