最新デジタル技術に基づく「デジタル変革」を実践し、ビジネス上の新たな価値を創出していくことこそが、今後の企業が生き残っていくうえでの重要なカギを握っている。それに向けて企業経営者は、AIやロボティック・プロセス・オートメーション(以下 RPA)、IoT、クラウドといったデジタル技術をいかに効果的に活用し、ビジネス上の付加価値向上へとつなげていくべきか――。「IBM Watson」をはじめとするコグニティブ・ソリューションを中核に、技術提供およびコンサルティングの両面から、顧客のIT活用を新境地へと導き、デジタル変革を支援する日本アイ・ビー・エムの我妻三佳氏、平田明氏と、日本オラクルの桐生卓氏が語り合った。

多くの企業が取り組みを推進する
AI・RPAを使った定型業務の自動化

日本アイ・ビー・エム株式会社
執行役員 グローバル・ビジネス・サービス事業本部 クラウドアプリケーションイノベーション担当
我妻 三佳 氏

日本アイ・ビー・エムにシステムズ・エンジニアとして入社し、中部地区のお客様にて業務系システムのSIプロジェクトに従事。ソフトウェア事業、Linux事業にて技術系リーダーを歴任し、副社長補佐、セキュリティ事業本部 理事を経て、2016年 グローバルビジネスサービス事業 クラウドアプリケーションマイグレーションサービス 担当理事、2017年 7月より現職。

――今日の企業には、急速に進化を遂げるIoTやAIなどのデジタル技術を駆使して、ビジネスのあり方を変えていく「デジタル変革」をいかに進めていくかが重要なテーマとなっています。その一方では、「デジタル変革の必要性はわかっているが、いったいどこから手を付けていいかわからない」といった声も企業からは聞こえてきます。

我妻:デジタル変革を実践するとは言っても、取り組むべき領域も広範なら、取り組みの切り口も様々です。そうした中でも、AIやコグニティブ・システムといった最新技術の活用にかかわる話題に絡めて、最近、とくにお客様から数多く寄せられているのが、いずれの企業の業務現場にもあるルーティンワークを効率化できないかというご相談です。例えば日本企業では、紙ベースのオペレーションを重視する文化が根強く、いまだ伝票類に記された内容をシステムに入力するという業務などにも、日々膨大な労力が投入され続けています。つまり、そのような定型的な仕事をAIやRPAといった技術に委ねて自動化することで効率化を図り、従業員の労力をより創造的な仕事に投入できるようにしていきたいというのがそうしたお客様の要望なのです。IBMでもWatsonやクラウドを活用しながら、自動化による変革を通じて、お客様が組織全体でデジタル変革を加速できるよう、お手伝いしています。

日本アイ・ビー・エム株式会社
エンタープライズ・アプリケーションズ
オラクル・プラクティス・リーダー
パートナー
平田 明 氏

1985年日本アイ・ビー・エム入社。数多くの大規模プロジェクトをプロジェクト・マネージャーとしてリードした経験をもつ。約20年間ERPの導入、コンサルティングをてがけ、多くの企業の変革や課題解決に携わる。近年は、IBM オラクル・サービスの日本のリーダーを担当。

平田:確かにそうしたご相談は増えています。これまでは、そうした業務の自動化というと、例えばチャットボットを使ってWeb上の問い合わせ対応を行うといった、顧客接点にかかわる領域への適用が主流でしたが、最近ではそれが経理業務などバックエンドの定型業務にも広がってきているわけですね。ただしその一方では、そのようなデジタル技術の活用による業務の自動化を図っていこうという目標を掲げたのはいいが、具体的にどの業務プロセスに適用していけば効果が望めるのか、あるいは定型業務とはいえ、これまで何らかの人による判断を介在させて実行していたプロセスを、機械に委ねて本当に大丈夫なのかといった疑問なり、懸念なりを抱いているお客様も多いようです。

桐生:われわれのほうでも、AIなどの技術を活用した業務自動化のニーズが、最近、急速に高まっていると感じています。いまおっしゃった、業務のどこに自動化を適用すべきかについては、決して目の前にあるニーズだけで即断すべき問題ではありません。やはり、業務プロセスそのものが標準化、正規化されていて、可視化されている状態にあって、初めてしかるべき分析が可能になり、適正な判断が下せるものと思います。その時々の必要性に応じて闇雲に適用したのでは、業務のある部分を自動化して効率化を図ることができたとしても、それによって他の部分がボトルネックになってしまうということもあり得るわけです。

我妻:おっしゃる通りですね。とくに自動化の適用については、効果測定もしやすく、デジタル変革の取り組みの端緒には適しているものと言えますが、単に特定の業務をシステム化するという発想に留まらず、業務プロセス全体の標準化や再構築も含めた、あくまでも長期的な視点で将来的な現場業務のあるべき姿を描き、それに則って進めていくことが肝要でしょう。もちろんそれは、業務の自動化に限らず、デジタル変革全般において重要であると言えるはずです。

【資料】 IBMのOracleクラウドへの取り組みとソリューション事例
【参考ページ】 IBMのビジネスコンサルティング
【参考ページ】 IBMのクラウドアプリケーション・サービス

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