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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

日本の財政は生き延びられるか
欧州危機の「3つの教訓」
――熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]
【第47回】 2011年12月14日
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 欧州の財政危機の成り行きを見て、日本の財政は他人事だとは思えない。現在の欧州諸国の対応を見ていて、「これはまずい」ということがいくつもある。

 一方、わが国を振り返って、もしも日本がそうした危機に直面したとき、果たして適切かつ迅速な対応が採れるかどうか、今ひとつ自信が持てないというのが、筆者の正直な実感である。

 これまでの金融危機や自然災害にも共通することだが、「絶対に起こらない」という前提で、「緊急時の備えは何も準備しなくてもよい」と判断することは危険だ。想定外の備えを具体的にイメージしておくことが、ぜひとも必要であろう。

【欧州危機の教訓①】
政治決断は市場のスピード感に追いつけない

 ギリシャに端を発した財政危機は、2011年11月にイタリアの財政問題へと本格的に波及した。イタリア国債の保有リスクが顕在化し、市場の混乱をどう収拾するかが焦点になっている。

 しかし、EFSF(欧州金融安定化基金)のレバレッジ案が始動するのは2012年初を待たなくてはいけない。むしろ、EFSFのスキームが稼働する手前で、限界を見透かされて、ESM(欧州安定メカニズム)への衣替えやECBの買入れなどの腹案が議論されている。

 同じことが日本で起こったならば、どう対処するのだろうか。たとえば、日本で長期金利が上昇し、政府債務が発散するリスクが高まったとき、債券市場に介入する方法として挙げられるのは、(1)日銀が資産買入基金を使って買い切りを増やすことや、(2)公的機関が長期国債購入を増やすこと、がある。それで十分なのか。

 一方、需給対策とは別に、日本政府は財政収支の悪化を早急に改善させるビジョンを見せることを迫られる。その場合、日本政府は必要な幅だけ消費税率を速やかに引き上げられるのだろうか。

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熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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