工場や倉庫はもちろん、店舗やスポーツ施設のような身近な建物にも「システム建築」が増えている。その大きな理由は短工期・低コストだ。ビジネスチャンスを逃さず、高い費用対効果が得られるシステム建築は、建築市場のデファクトスタンダード(事実上の標準)となりつつある。

〈施工事例〉
1 工場:チヨダシューズ新潟工場(新潟県)
2 トランクルーム:高田引越センター(愛媛県)
3 店舗:那須りんどう湖LAKE VIEW レストラン(栃木県)
4 工場:桑野研磨工業所新工場<太陽光発電併設>(福岡県)
5 スポーツ施設:石丸屋内スポーツ施設(福岡県)
6 事務所:ジェイ・ケイ・リアルタイム本社社屋(福島県)

システム建築は、
厳しい事業環境の切り札となる

横河システム建築
大島輝彦 代表取締役社長

 システム建築という言葉は知らなくても、システム建築を用いた建物は見たことがあるはずだ。システム建築とは建物を構成する鉄骨、屋根、外壁、建具などの部材を標準化することで短工期・低コスト・高品質を実現した建築工法のこと。

 需要が拡大する一方で人手不足に悩まされる建築市場では、「システム建築がデファクトスタンダードとなりつつある」と、横河システム建築の大島輝彦社長は話す。

 「どのような企業も工場や倉庫、店舗を建てる場合、コストや工期などの点でも合理性を追求せざるを得なくなっています。建設会社も競争入札が当たり前になり、他社に対して優位性を示せなければ受注することはできません。

 以前は地元企業との長年の付き合いや経営者同士のパイプで商売ができましたが、世代交代が進んだ今は『つながり』だけでは契約できません。また、施主(企業)もステークホルダーから費用対効果を厳しくチェックされています」(大島社長)

〈施工事例〉
7 スポーツ施設:Family wall福岡(福岡県)
8 工場:HIK茨城新工場(茨城県)

 このように事業環境が厳しくなる中で、施主と建設会社双方の切り札となるのがシステム建築というわけだ。

 システム建築は冒頭で紹介したように、部材の標準化、営業、設計、工場製作、施工までの「建築生産プロセス」を高度にシステム化している。さらに、建設作業で想定される検討事項・仕様があらかじめ標準化されているため、「短工期・低価格でありながら高品質を実現できるのです」(大島社長)。