米大学院入学希望者の国別比率が
中国45%、インド20%、韓国8%、日本は?
先月シリコンバレーで、当地に拠点を持つ日本の大学の関係者が集まって、「国際化に向けた大学経営」と題する会合が開かれた。参加した日本の大学は20校(国公立大学と私立大学が半々)を超え、学長自らが参加した大学も3校あった。文部科学省審議官(高等教育局担当)、日本学術振興会の理事長も参加された。アメリカ側で参加したのはカリフォルニア大学とスタンフォード大学だった。
カリフォルニア大学総長室で経営企画を担当する副学長が、同大学の取り組みについて基調講演をした。学生一人ひとりの入学選考から、講座の履修履歴、成績、就職、更には実社会に出てからの成功・非成功を追跡調査した膨大なデータベースを作っていた。こうしたデータを元に、カリフォルニア大学が本当に社会に役立つ経営をしているのか、同大学が他の一流大学と比較して競争力を維持しているのかを検証している。こうした取り組みをInstitutional Research(IR)と呼んでいる。
これを受けて日本の大学がIRの実施状況について発表をしたが、総じて抽象的、理念的な説明が多く、数字の発表は年度末の在籍学生数とか教員数とかごく一部に限られていた。学生の実態を時系列で観察したデータに基づいてIRを実施しているところは皆無であった。これは日本とアメリカの文化の違いもあるように思う。この国ではEvidence(実態・証拠)を重視し、Evidence-basedで実証的に検証を行うのが通例のやり方だからだ。
この会議のなかで注目される発言が、スタンフォード大学工学部電気工学科の教授からあった。その教授が属される学科では現在、全世界から応募してきた大学院の入学願書約2000人分を審査する作業を行っているが、そのうち中国からの応募者の比率は45%、インドからの比率は20%、韓国からは8%であった。それに対し日本からは0.35%だった。人数で見るとこの3国とは桁が2桁違うのだ。入学許可が下りるのは150人程度なので、日本からの合格者はせいぜい一名でゼロの可能性もあるという。