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企業のコスト削減が進む中、出張事情はよりシビアになってきている。回数を減らして出張費を抑えながらも、よりいっそうの成果を求める──。このような状況下でビジネスホテルに求められるのは、もはや駅から至近のロケーションやリーズナブルな価格だけではない。英気を養い、翌日のハードなビジネスに備えられるサービスを提供してくれる、ビジネスパーソンにとって頼もしい新たなカテゴリーのホテルが増えてきている。

価格・ロケーションだけでなく
プラスアルファの心地よさを
提供する新カテゴリーホテル

 ビジネスパーソンの出張といえば、宿泊先はビジネスホテルというのがお決まりのパターンだった。ところが、ここ10年余りで〝宿泊特化型〟とうたうニュータイプのホテルが台頭し、ビジネスホテル業界内の勢力地図は大幅に塗り替えられてきているようだ。

 出張の場合、ホテルに戻るのが夜更けになるケースも少なくないが、ただ眠りに就くだけの場所とはいえ、ビジネスホテル以上の快適性を求める利用者が増えてきている。その日の仕事の疲れを癒やしたり、翌日の商談に備えて英気を養ったりするためには、誰しも心地よい空間で朝を迎えたいものだろう。

 そもそもビジネスホテルとは和製英語で、そのネーミングの通り、商用の出張客にターゲットを絞った宿泊施設を意味する。繁華街の中心や最寄り駅から至近距離という絶好のロケーションである半面、シングルルームが中心で室内もかなり狭いケースが多かった。

 これに対し、同じく都市の中心に位置しながらもシティホテルとして位置付けられてきたところは、宴会場やレストランを備えた総合施設で、一般的に宿泊料金はビジネスホテルよりも割高な設定になっている。

 最近はシティホテルもインターネット予約などで格安プランを設けているが、全般的に安上がりという点ではビジネスホテルのほうに分があるだろう。多くのビジネスパーソンは、シティホテルのサービス性を望みつつも、出張予算の都合上、渋々ビジネスホテルを選んでいたのではないだろうか。だからこそ〝宿泊特化型〟と呼ばれる新たなカテゴリーに属するホテルが一気に勢力を拡大しているのだ。

必要とされるサービスに
的を絞る

 「ビジネスホテルは、高度経済成長に伴って1960年代後半ごろから急増し、80年代に入ると大手によるチェーン化が進みました。そして、バブルが崩壊してさらなる低価格化が進む一方で、地価の下落などを受けて、外資系ラグジュアリーホテル進出が相次ぎ、ホテルは価格体系的に二極化しました。その後、90年代後半から全国各地で登場し始めたのが宿泊特化型と呼ばれるホテルです」

 こう解説するのは、『ホテル業界大研究』(産学社刊)の著者であるジャーナリストの中村正人氏だ。

 では、宿泊特化型ホテルの施設は既存のホテルとは一体どのような点が異なっているのだろうか。

 「その大きな特徴は、売り上げの90%以上が宿泊料収入である点です。宴会場やレストランを持たないのが原則で、オペレーションも少人数のスタッフで行ってランニングコストを極力抑える一方、採算悪化で廃業したビジネスホテルを買収・改装するなど、初期投資もできるだけ抑えています」

 さらに自動チェックイン機を設置するなど、ローコスト化を徹底しているところもあるという。宿泊料よりも婚礼・宴会などが主な収益源であるシティホテルとは、まったく対極に位置するわけである。

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