「好きを仕事にしたい」「もっとお金と時間が欲しい」「理想のライフスタイルを手に入れたい」……。あなたも、こんなことを心の中で願っていたりしませんか? どうすれば思い通りの人生を手に入れられるのでしょうか。このたび、ダイヤモンド社から『欲ばりなほど ぜんぶ叶う』を上梓した岩科茜さんは、結婚して子育て中の27歳のときに、時間なし、資金なし、人脈なしというゼロの状態から起業し、人気アパレルブランド「Myu」を立ち上げました。現在、リモートワーク中心の6人のスタッフと共に年商2億円を稼ぐ女性起業家が夢を実現するために必要なマインドと行動についてお伝えいたします。今回は、人気アクセサリーブランド「Lily’s Handmade」のオーナー兼デザイナーの小林有里さんとの対談の2回目をお届けします。

SNSを通じて、これから自分がビジネスで<br />展開したいもののファンを今から増やしておく岩科 茜さんと小林有里さん

インスタグラムとブログは必須ツール

――起業するとき、まずは何から始めたらいいのでしょう?

SNSを通じて、これから自分がビジネスで<br />展開したいもののファンを今から増やしておく岩科 茜(いわしな・あかね) 株式会社Mchic (エムシック)代表取締役 ファッションブランド「Myu」オーナー。1983年生まれ。静岡県出身。高校中退。 東京、静岡でアパレル店員および店長を経験し、23歳で結婚を機に退社。 2児のママで専業主婦だった27歳のとき、個人事業主として起業。プチプラ+ハイブランドなどのおしゃれなコーディネートをSNSで発信し、働くママや子育て中のママから高く支持される。 2015年に株式会社Mchicを設立し代表取締役に。ママ目線の洋服作りが口コミやインフルエンサーの間で人気を呼び、ファッション誌とのコラボ企画や雑誌掲載、TV番組との衣装契約と大人気。リモートワーク中心のスタッフ6名と共に、婦人服と子ども服サイト6店舗を展開し、年商2億円に到達する。 現在、東京を中心に、「自分らしく起業して、楽しく自由に稼ぐ」をテーマとした講演やセミナー、コンサルティングを行う。 自分らしく、自由な働き方をサポートする起業プログラムは好評で、月商100万円未満のビジネスが、月商500万円以上のビジネスへと変わった等の成功者が続出。好きで得意なことを活かしたい起業家、OL、専業主婦といった多くの女性たちをサポートしている。インスタグラムフォロワー9000人。

岩科 ビジネスのネタとか商材を考える前に、まずはSNSを始めることだと思います。普段出会えない人と出会えるし、必ず必要になるものだし、どんどんつながりができることで、その人たちが自分のファンになってくれたり、お客さんになってくれたりするからです。今も、皆さん好きなものやことをアップしていると思いますが、それをどうビジネスにつなげられるかを考えてアップしてみるというか。

小林 そうですね。

岩科 SNSを通じて、将来的に自分がビジネスで展開したいもののファンを今から増やしておくというか……。ファンがいる状態でビジネスを始めることになれば、あまり不安はないですよね。私の場合もそうでした。

小林 インスタグラムとブログを連携させるというか、まずはその2つを始めることが大事ですよね。

岩科 そこで好きなことについて、どんどん書いていくと、どの記事や投稿のアクセスが多かったのかとか、そこで自分の中での整理整頓、棚卸しができると思います。

小林 私も、最初はファッションやアクセサリーなどについて記事をアップしていたんですが、だんだん多岐にわたってきて……。それで、自分のブランド自体のインスタグラムのアカウントがなかったので、最近つくりました。今、フォロワーさんが6万人くらいです。

岩科 (小林さんのインスタグラムを見て)写真、いいですね。自分も真似したくなるというか……。

小林 でも、フォロワーの数よりも大事なのはファンが何人いるかです。フォロワーが100人のAさんと1000人のBさんがいたとして、Aさんの100人が全員ファンで、Bさんのファンは50人しかいないとしたら、それは、BさんよりもAさんの方が価値が高いということです。いかにファンになってもらえるような写真や記事をアップできるかが大事です。

岩科 その通りですね。

行動して失敗しても後悔しない

SNSを通じて、これから自分がビジネスで<br />展開したいもののファンを今から増やしておく小林有里(こばやし・ゆり)ジュエリーデザイナー。1984年東京生まれ。2児の母。不動産会社で現在のご主人と出会い、結婚・出産後に退職。ママ雑誌の読者モデルをやりながら、ハンドメイドアクセサリーブランド「Lily’s Handmade」を立ち上げる。現在、同ブランドのオーナー兼デザイナーとして忙しい日々をおくる。人気インスタグラマーとしても知られる。フォロワーは6万2000人。

小林 思わず「いいね!」を押しちゃう投稿って、うまいですよね。子どもの写真をちょいちょい挟んできたりとか、私生活が垣間見えるというか……。

岩科 その方が奥行きが生まれますよね。その人となりが立体的に見えてくるというか。

小林 そうそう。

岩科 でも、私は天邪鬼だから、意図的にそういう記事をアップしているなと思う人は、すぐにわかるのでファンにはならないです。

小林 私も、自分のSNSがそういう「受け狙いでアップしている」と思われるだろうなと思いつつも、でも、やっぱりアップしちゃいますね。最近、歳を取ってきたというのもあって、あまり深く考えずに行動するようにもなってきたんです。それだけ経験値が増えているので、「まあ、何とかなるだろう」と……。

岩科 私、行動して今まで後悔したことって、ないんですよ。失敗しても、床に牛乳こぼすのと同じようなものというか。牛乳こぼすと、くさいし、汚いので、こぼした瞬間は「あ、やっちゃった!」って思うけど、それなら、いっそのこと床を隅々までキレイにしちゃえ!というふうに切り換えてやれば、ストレスにならないというか。

小林 でも、それは岩科さんを支えてくれている彼女(社員)の存在も大きいのでは? 上手にフォローしてくれるというか。岩科さんはリーダーシップをとって突っ走るタイプだけど、それを彼女があとから上手にフォローしてくれている気がします。

岩科 起業2年目に今のビジネスパートナーと出会ったのですけど、「いい人がいるから」と会ってみたら、すごい意気投合して。それで、一緒にやることになったんです。

小林 人を雇うって大変ですよね。責任が生じるし、お給料を毎月払わないといけないし。だから、私は基本は今も1人でやっています。

岩科 これは本にも書いたんですけど、以前、仕入れに失敗してお金が回らなくなって、もう会社をたたもうと思ったことがありました。それで、泣きながら彼女に「辞めてもらっていい?」と電話したら、彼女が「この会社にかけているから、何とか2人で立て直そうよ」って言ってくれて。それで必死にやったら結局、1ヵ月で立ち直ったんですけどね(笑)。

今は10万円もあれば、ビジネスを始められる

――先ほどの続きになりますが、インスタやブログなどのSNSを始めたとして、その次には、具体的には何をやればいいですか? ビジネスのネタや商材を探すことですか?

岩科 もしこれやりたいなと思っていることがあるのなら、すでにそれをやっている人を見つけて研究して、それをマネするのではなくて、そこに自分なりのアレンジを加えて、オリジナリティを付加していくように考えてみることではないでしょうか。

小林 そうですね。たとえば、今だったらお洋服のビジネスってあふれていますけど、でも「こういうのあったら嬉しいよね?」というのは、まだまだ何かしらあるはずですよね。たとえば、私は背が大きいので、洋服は基本Lサイズなんですが、でもLサイズって、縦が長くなると横も大きくなるから、私のように細くて縦に長い体型の人は、結構、着るものに困っているんですよ。自分が困っていること、不便に思っていることを起点に考えてみるということです。

岩科 私もお洋服の仕事がしたいなと思って、でも当時はネットショップって限られていてマガシークとかの大手が少しやっているくらいだったんです。でも、子どもがいるので通販って便利だなと思って。それなら、子ども向けの洋服を通販でやったらいいんじゃない、ということで始めたのです。

小林 今は、十万円もあればサイトをつくってビジネスをスタートできちゃいますよね。

岩科 そうですね。それにSNSを通じて仲良くなった人から教えてもらったり、ママで起業している人から教えてもらったり、お互いに教え合ったりもできますよね。とにかくSNSをフル活用して、それを通じておしゃべりして学びを深めることもできますよね。

自分が欲しいな、好きだなと思うものを作る

――ビジネスですから、売れるものを作らないといけないと思いますが、お2人はどういう考えでモノ作りをしているのですか?

岩科 私は、自分が欲しいな、好きだなと思うものを作っています。

小林 私も、自分が身に付けたいものを作っています。あとは、海外にあるものとかを見て、かわいいなと思ったら、それにヒントをもらって自分なりのテイストに変えていくとかです。

岩科 以前は、自分がかわいいなと思うものだけを作っていましたが、人も増えてくると、やはり、売れるものを作るということもやらなくてはいけない。そのときにどうするかというと、今は、ペルソナというか、架空のイメージモデルが自分の頭の中にいて、その女性に着せたいもの、その女性に似合うものは何かなと考えてやっています。

小林 シンプルなものって、ザラとかユニクロとかにはかなわないから、そういうものはそこにお任せておいて、他でないもの、見ないもの、オリジナリティのあるものを作るようにしています。

岩科 そこは同じですね。グローバルでやっている会社にはかなわないです。でも、逆に小さい会社だからこそできることがあると思うので、それをやるというか。

小林 私は、デザイン画とかは書かないで、いきなり目の前に素材を広げて、それをああでもない、こうでもないと組み合わせを考えながら作っています。でも、一晩経って次の朝見たときに、これ違うなと思ったら、またゼロから作り直します。

岩科 私は、その服を着たいシーンとかを思い浮かべて考えたりします。これはプライベートでも応用していて、何かを頼まれたときに、頭の中でそれをやっている自分を想像して、それが楽しそうだったら引き受けるようにしています。女子って、本来、妄想好きなんですよ。

小林 そうそう。あれこれ妄想しますよね(笑)。三越の展示販売のお話が来た時も、頭の中で想像してみて「あ、できるな!」と思ったので、出店を決めました。最初はプレッシャーだったんですけど、目標の売上金額も達成できました。そのきっかけとなったのもSNSです。三越の人が私のSNSを見て、向こうから「出店しませんか?」とお声をかけていただいたのです。

岩科 やっぱり、まずはSNSを始めることからですよね~。本日は、お話できて楽しかったです。どうも、ありがとうございました。

小林 いえ、こちらこそ、とても楽しかったです。ありがとうございました。

(撮影:宇佐見 利明)

おわり