2018年3月、各社のダイヤ改正が発表される中で、ひときわ輝きを放っていたのが小田急電鉄である。都市計画による構想から半世紀余、着工してから30年を経て、「登戸」(川崎市多摩区)から「代々木上原」(渋谷区)までの区間が複々線化された。そのメリットを享受して利便性が向上したものの、マンションがまだお手頃価格のままの「穴場駅」をご紹介しよう。
複々線化による利便性向上を享受できる「穴場駅」として、まず挙げられるのが「登戸」だろう。快速急行が終日停車することになったことで、東京都心への到達時間が最大9分短縮されて「新宿」まで18分となった。快速急行はこれまで、「新百合ヶ丘」の次は「下北沢」「代々木上原」「新宿」と停車していたため、小田急沿線の神奈川県民からはブーイングの嵐となった。
というのも、「登戸」は小田急の駅としては「新宿」「町田」「代々木上原」「藤沢」に次いで5番目に乗降人員数が多い。JR南武線との乗換駅でもあり、両駅合わせて1日の利用者数が30万人を超えるほどであり、こうした乗客が快速急行に押し寄せてくるからだ。
ただ、その割には駅の周りはあまりぱっとしない。飲食街もJR南武線で4駅先の「溝の口」と比べてかなり見劣りするし、駅構内の商業施設も利用者数に見合った感じがしない。下車して滞在したいという場所に乏しいのだ。
こうした現状を打破すべく、駅周辺では大規模な区画整理が進んでいる。小田急線の東側では駅前ロータリー前に「登戸区画整理駅前店舗」が営業中、西側には広大な空き地が広がったままになっている。
計画では2025年度には完了予定となっている。ここが整備されれば、駅前の表情は一変するだけに、先物買いの観点からも、「登戸」は要注目駅といえる。中古マンション価格で見ると、「新百合ヶ丘」4320万円(70㎡換算。住まいサーフィン調べ。以下同)に対して「登戸」は4140万円と割安である。