日産は昔からの「膿」を出し切っていないのかPhoto:iStock/gettyimages

ゴーン元会長の逮捕と
4度にわたる完成車不正検査問題

 年末になってもずっと世間を騒がせているのが、カルロス・ゴーン元日産自動車会長の逮捕劇である。有価証券報告書への高額報酬虚偽記載の金商法違反の起訴に加え、「日産の私物化」による不正行為の特別背任罪による再逮捕もあり、結局、ゴーン元会長は越年勾留となった。司法の判断は長引きそうであり、決着は長期化の様相だ。

 日産は直ちに会長解任で「ゴーン失権」を明確にした。だが、日産の親会社がルノーであり、そのルノーの大株主が仏政府であることでルノーは会長兼CEOを当面、留任させており、これが「ややこしい事態」を招いている。

 ここで、日産が直面する問題は2つ。

 1つは、日産にとってゴーン元会長が束ねてきた「ルノー・日産・三菱自動車連合」という国際3社連合を、「ポスト・ゴーン」でどのような道を探るのか。

 もう1つは、そもそも日産がこのゴーン元会長の不正を社内で解決できずに、結果的に司法に委ねざるを得なかったということ自体がコーポレートガバナンス(企業統治)上、非常に問題であるということだ。

 それは、完成車検査で4度にもわたる不正発覚という工場生産現場でのコンプライアンス(法令遵守)の徹底不足にも結びついており、日産という企業の本質を突く問題である。

 詳しくは後述するが、日産は“昔”からの「膿」が出し切れておらず、企業としての「土壌」に問題があるのではないか、と思うのだ。