“モンスターオペ”。日銀が金融危機対応として実施している「企業金融支援特別オペ」をそう呼ぶ声が、市場だけでなく日銀関係者からも聞こえてくる。
このオペは、企業が発行しているCP(コマーシャルペーパー)や銀行間の資金貸借取引に強烈な金利低下効果を与えている。
同オペは、銀行、証券会社、短資会社などが企業債務を日銀に持ち込むと、その担保価額の範囲内で無制限に日銀から資金を借りることができるという制度である。
金利は0.1%の固定金利だ。6月16日現在で利用額は7.4兆円に達している。これほどの低利で資金を大量に供給している中央銀行は海外では見られない。
日本のCP金利は米国よりも大幅に低く推移している。CPのほうが日本政府が発行する国庫短期証券よりも金利が低いという奇妙な「官民逆転現象」も続いている。
企業金融支援特別オペは時限措置であり、9月に期限がくる。同オペは短期金融市場の金利形成に歪みをもたらしているため、運営方式を見直すほうがよいという声が市場で徐々に増加してきている。
しかし、日銀が危機対応のオペに見直しを加えると、(それが微修正であっても)メディアは「日銀、出口政策の第一弾を開始」「非常手段を解除」と大きく報じるかもしれない。