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金融市場異論百出

欧州経済を下支えしてきた
中国人の贅沢品購入に変調

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2012年8月1日
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 中国人にとっての「文化的で歴史的な遺産がある国」の第1位は英国だという。そういった印象にロンドンオリンピックが加わったため、中国から英国への観光客は一段と増加している。

 英「インディペンデント」紙は、ロンドンでブランド品を派手に購入する中国人観光客の近年の様子について驚きを込めて報じていた。欧州大陸からの観光客の財布の紐は固くなっているだけに、ロンドンの小売業界の中国人観光客に対する思いは強い。キャメロン英首相が駐英中国大使に「中国人観光客をもっと増やすにはどうしたらよいか?」とアドバイスを求めたところ、大使はブランド品のアウトレットモールをたくさん建設するべきだと助言したという。

 とはいえ、さすがに最近は、中国の経済成長率鈍化により、富裕層のブランド品需要に変調が起きている。英バーバリーグループのアジア・太平洋地区での小売り・卸売りの売上高は同社の4割弱を占め、その中でも特に中国の比率が大きい。昨年第1四半期のアジア・太平洋地区の売上高は、なんと前年同期比+62%だったが、今年の同期は+20%に鈍化した。

 中国国家統計局と大手仏系証券の共同調査によると、宝飾品の販売額は昨年第1四半期は前年同期比+59%だったが、今年第1四半期は+20%だった。上海の高級ショッピング街である南京西路では、欧州系ブランドのバッグ等が3~5割引きで売られているという。

 高級車販売も減速気味だ。独アウディの今年4~5月の中国での販売台数は、この経済環境下でありながら、いずれも前年同月比+44%という驚異的な伸びを記録した。しかし、6月は+20%に落ちている。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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