ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
開沼博 闇の中の社会学 「あってはならぬもの」が漂白される時代に
【第7回】 2012年8月28日
著者・コラム紹介バックナンバー
開沼 博 [社会学者]

第7回
ソーシャルメディアが生んだ未成年少女の闇
高付加価値商品に巣食う「援デリ」

1
nextpage

「健全な青少年の育成」の名のもとに、店舗型性風俗をはじめとした「あってはならぬもの」は街から姿を消していく。しかし、その裏では「ミテコ(未成年の少女)」の“市場価値”の高まりとともに、より一層「あってはならぬもの」が地下化し、その構造が強化される皮肉な現状が見えてきた。そこに登場した新たな性風俗産業、通称「援デリ」。
社会学者・開沼博は、繁華街で生計を立てる28歳の敏腕スカウトマン赤坂に密着した。10年以上にわたり、穏やかな日常と「あってはならぬもの」をつなぎ続けた彼が「援デリ」の実態を赤裸々に語る。
私たちが見ているようで見ていない、もしくは見えない“ふり”をしている現実とは何か。第6回に続き、ひとりのスカウトマンの姿を通して、漂白された繁華街の真実に迫る。次回更新は9月11日(火)予定(隔週火曜日更新)。

 “並クラス”で40万円、トップクラスは月収100万超

 赤坂は自身の「ビジネスモデル」をこう説明する。

 「箱ヘル(店舗型性風俗)にせよ、デリヘル(無店舗型性風俗)にせよ、客は1時間ほどのプランで1万5000~2万円くらいを払うのが基本。それに指名料とかつくわけです。その中で女のコの取り分は半分くらい。7000~1万円。スカウトにはその15%ぐらいというのが相場です。店との交渉によって10~20%ぐらいは幅があって、それは何人も入れているとか、勤怠管理しっかりしているとか、スカウトの実績や店との力関係で決まる」

「ビジネスモデル」を語る28歳の敏腕スカウトマン赤坂

 「箱ヘル、デリヘルどっちも(スカウトしたコを)入れますよ。箱ヘルは繁華街に店があるんで、客が一日どのくらい来るかっていうだいたいの数は安定する。女のコと従業員を合わせて15~20人いる店での月の売上は3000万円くらいでしょうかね。家賃、経費、従業員人件費諸々かかりますが、安定しているから、女のコにもし客がつかなくても出勤してくれればいくらはあげますよという『保障』をつけてくれる」

 「一方で、デリヘルは店とか時期によって売上にばらつきがある。あと、当然、家とかホテルに派遣するから色々トラブルも発生しやすいですよね。店舗だったら揉めてもすぐに助けに行けますけど。でも、デリヘルのほうが数は圧倒的に多いですから、デリヘルに紹介することも多い。その時は勢いある店に営業するんです。向こうもできるスカウトを求めていますから、実績あればすぐ使ってもらえる」

 「そうすると、だいたい“並クラス”の女のコで彼女たちの手元に残る稼ぎは平均1日2万×出勤20日で月40万くらい。そうすると、スカウトバックは5~6万くらいですかね。もちろん、稼ぐコはすごい稼ぎますよ。100万超えるとか。見た目も性格もいいトップクラスのコだと、月30~40本指名取るコもいるんです。そういう時は、ひっきりなしに客が入る状態だし、指名料は女のコとスカウトの給料にそのまま加算されることもある。この場合、スカウトバックも10万超えてきます。今はないですけどね、昔、景気よかったときは20~30万のスカウトバックをもらうこともありました」

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
まいにち小鍋

まいにち小鍋

小田真規子 著

定価(税込):本体1,100円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
簡単で安くて、ヘルシー。ポッカポカの湯気で、すぐにホッコリ幸せ。おひとりさまから共働きのご夫婦までとっても便利な、毎日食べても全然飽きない1〜2人前の小鍋レシピ集!「定番鍋」にひと手間かけた「激うま鍋」。元気回復やダイエットに効く「薬膳鍋」や、晩酌を楽しみたい方に嬉しい「おつまみ鍋」など盛り沢山!

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


開沼 博(かいぬま・ひろし) [社会学者]

1984年、福島県いわき市生まれ。東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府修士課程修了。現在、同博士課程在籍。福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員。専攻は社会学。学術誌のほか、「文藝春秋」「AERA」などの媒体にルポ・評論・書評などを執筆。
著書に『漂白される社会』(ダイヤモンド社)、『はじめての福島学』(イースト・プレス)、『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』(青土社)、『地方の論理 フクシマから考える日本の未来』(同、佐藤栄佐久との共著)、『フクシマの正義 「日本の変わらなさ」との闘い』(幻冬舎)『「原発避難」論 避難の実像からセカンドタウン、故郷再生まで』(明石書店、編著)など。
第65回毎日出版文化賞人文・社会部門、第32回エネルギーフォーラム賞特別賞。

 


開沼博 闇の中の社会学 「あってはならぬもの」が漂白される時代に

不法就労外国人、過激派、偽装結婚プロモーター、ヤクザ、チーマー、売春婦……。彼らはときに「アウトロー」や「アンダーグラウンド」と評され、まるで遠い国のできごとのように語られてきた。しかし、彼らが身を置く世界とは、現代社会が抱える矛盾が具現化された「ムラ」に過ぎない。そして、「あってはならぬもの」として社会からきれいに“漂白”されてしまった「ムラ」の中にこそ、リアリティはある。
気鋭の社会学者である開沼博が、私たちがふだん見えないフリをしている闇の中へと飛び込んだ。彼はそこから何を考えるのだろうか? テレビや新聞を眺めていても絶対に知ることのできない、真実の日本を描く。全15回の隔週火曜日連載。 
 

「開沼博 闇の中の社会学 「あってはならぬもの」が漂白される時代に」

⇒バックナンバー一覧