グローバル化の急速な進展に伴い、そうした社会で活躍できる人材へのニーズが高まっている。今や、グローバル人材の育成は各大学共通の課題ともいえ、教育目的や特色に応じた実践的な取り組みが多彩に実施されている。大学選びに当たっても、グローバル人材育成の実効性が、重要な判断材料の一つとなってきた。
「グローバル人材育成の重要性があらためて注目されたのは、2011年に設置されたグローバル人材育成推進会議ではないでしょうか」と振り返るのは、文部科学省高等教育局の坂下鈴鹿氏だ。会議では、新興国の台頭はじめ変化の激しい国際社会の中で、活力の持続と豊かさを両立できる課題解決先進国として存在感のある国になるために必要な、グローバル人材育成の方向を示した。
提言の中では、グローバル人材の概念が、三つの要素で示された(図1)。
「例えば、地域においてはものづくりのグローバル化に対応できる理工系人材の育成が求められており、文系においても国際的なビジネスやサービス展開、増大する海外との取引に対応できる人材に対するニーズが急拡大しています。大学には教育と研究という二つの役割がありますが、変化する社会の中で、教育面でこれらグローバル人材へのニーズに応えることが、これまで以上に大学に求められています」と、坂下氏は現状を分析する。
学生に対し、来る高度な知識社会で活躍できる能力を習得させて、社会に送り出すことが期待されているわけだ。
こうした中で、文部科学省は今年6月、「社会の変革のエンジンとなる大学づくり」をテーマに「大学改革実行プラン」を公表した。その中で、求められる人材像として、グローバル社会で活躍する人材、イノベーションを創出する人材などを挙げている。今年5月には、「産学協働人財育成円卓会議」で、企業と大学が共に、わが国の発展・成長に向けた人材育成のあり方について行動計画をまとめた。大学のグローバル人材育成への取り組みが、ますます加速すると考えられる。