ネット環境の進化でビジネストラベルを取り巻く状況は激変している。航空券はウェブでダイレクトに購入、ペーパーレス搭乗は当たり前。商業化が進む空港での過ごし方も変化してきた。時代に追い付き、利便性を最大限に利用する出張術を、観光ジャーナリスト・千葉千枝子氏に聞いた。

千葉千枝子  Chieko Chiba
観光ジャーナリスト。横浜商科大学、城西国際大学、東京成徳短期大学観光学講師。中央大学卒業後、富士銀行入行。シティバンクを経てJTBに入社。1996年有限会社千葉千枝子事務所設立、代表取締役。ロングステイ財団評議員や港区観光振興ビジョン策定委員を歴任。新聞・雑誌、ウェブ等で観光・運輸全般の論評、執筆の他、各国政府観光局・企業団体主催セミナー等で講演を行う。

「移動の通過点だった空港が、今、変化してきています」と千葉千枝子氏は語る。話題になった羽田空港国際線旅客ターミナルの“EDO NARKET PLACE”のように、空港自体が巨大な商業施設になっているというのだ。

「例えば関西国際空港では、出国審査終了後の免税エリアの南北両ウイングにエルメスブティックやブルガリなどの海外有名ブランド店が軒を連ねています。

 成田空港でも免税店やブランド店が充実。最近ではドイツの筆記具ブランド・モンブランの店が好評で、渡航先で自由になる時間が取れないビジネスマンが、旅先ですぐに使うための万年筆やボールペンなどの文具を購入し、売り上げが伸びているといいます。

 いまや空港は、セレクトショップが並ぶ商業施設になっており、普段買い物に行く時間もないビジネスマンが、待ち時間を有効に使いながらショッピングをする格好の場となっているのです」

 急に出張を命じられても、ビジネス用品だけを手にして、その他必要な身の回り品などは空港で買いそろえることができるというわけで、実際にそうした出張スタイルを取っているビジネスマンも少なくないようだ。

 また、ビジネスマンには定番となったラウンジでの過ごし方にも変化が出てきた。航空会社や空港のラウンジ設備は充実の一途をたどり、カードホルダーでなくても利用できる有料のラウンジが増えている。海外から帰国後、国内線に乗り継ぐ人たちのための到着ラウンジも充実しており、出発ラウンジと到着ラウンジでは提供する軽食の内容を変えるなど、利用者への心配りがなされているという。