ゴミ・廃棄物処理に水、土壌、空気の浄化、さらには省エネや新エネルギー……現在、少なく見積もっても「環境ビジネス」は約20兆円の市場規模と見られる。環境・エネルギー等に強みを持つ経営コンサルタントに、環境ビジネスの現状と今後の行方、また新規参入にあたっての留意点を聞いた。

 

 「環境ビジネス」という言葉が一人歩きしているが、明確な定義はなく、曖昧だ。船井総合研究所環境ビジネスコンサルティンググループ部長の菊池功氏らの調査によれば、環境ビジネスは「少なく見積もると20兆円の市場規模」という。

エコカーを加えると
30兆~40兆円規模に

菊池 功
船井総合研究所 執行役員
環境ビジネス
コンサルティンググループ部長

名古屋大学工学部原子核工学科を卒業後、船井総合研究所に入社。環境ビジネス、エネルギービジネス、産廃ビジネスに専門特化した経営コンサルティングのパイオニア的存在。

 市場の中で最大なのは、20兆円の過半を占める廃棄物の処理や再生リサイクル関連の事業(1)だ。工場系廃棄物、事業系廃棄物、家庭系廃棄物、それら全ての処理・リサイクルが10兆円強のビジネスになっている。

 残る内訳は以下のようになる。
 (2)水ビジネス(10パーセント強)
 (3)省エネ関連(10パーセント強)
 (4)新エネルギー関連(10パーセント弱)
 (5)その他(約20パーセント)

(2)の水関連では、家庭系の上下水道、工場系の上水・排水・下水、そして、水の浄化等がメインを占める。海水淡水化といった技術が注目されるが、市場規模としては全く小さい。

「環境ビジネス」という時、多くの人がイメージするのが(3)と(4)だろう。(3)の中には、電気・燃料・水、それぞれの省エネが含まれ、例えば、今流行のLEDや空調インバータ制御が代表格である。(4)の新エネ分野の9割以上を占めるのが太陽光発電関連だ。バイオマスや風力、地熱発電分野のマーケットはまだまだ小さい。(5)のその他は、土壌や排気の浄化を中心とした技術や製品が含まれる。

「エコカー関連を含めると、環境ビジネスの市場規模は、一気に30兆~40兆円に拡大します」(菊池功氏)