2015年までに脱原発!?
省エネがビジネスを活性化

 来年の通常国会以降、エネルギー政策、なかでも原子力発電の扱いが大きな争点になることは間違いない。実は菊池氏は、かつて名古屋大学工学部で原子核工学を専攻、原子力発電全般についても造詣が深い。

「これを言うと驚かれるのですが、私は2015~16年までには『脱原発・卒原発』になると考えています。その結果、現在の2倍程度の電気料金を受け入れざるを得なくなります」

 現在、先進国のなかで電気料金が最も高いのはイタリアで、日本は第2位。菊池氏は、15~16年以降、日本がイタリアを抜いて、世界一高額な電気料金の国になると見通している。

電力不足という状態が、さらなる省エネ、節電技術の開発・革新につながる。製品やシステムとそれを支えるオペレーションやメンテナンス技術の海外輸出が今後のカギ。
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「電気料金の値上げを受け入れ、日本は省エネをより進めるべきです。省エネ・節電・節約の技術や意識が、今後の国内ビジネスを活性化していくカギになっていくでしょう」

 電力不足が言われているが、実は現在の発電所の発電効率自体が、まだまだ低く、同じエネルギーで現在の1.5倍程度の電力を作り出すことが可能だと菊池氏は言う。

「要するに発電効率(作る効率)を1.5倍上げ、かつ省エネ効率(使う効率)も1.5倍上げることで『脱原発・卒原発』への対応が可能になります」

 さらに、日本国内で開発した節電・節約・コスト削減技術を、全世界に輸出していく。

「莫大なエネルギーを消費して無理やり経済を大きくするのではなく、わずかなエネルギーで最大の効率・生産性を目指す。それにより、日本経済が活性化します。これが私の言う『節電・節約でこそ、経済を活性化させる!』という意味です。これは世界で唯一、日本にしかできないことでしょう。世界標準に合わせるのではなく、日本オリジナルな『日本化』を目指すべきなのです」

 一方で、太陽光や風力、地熱やバイオマスなどとは全く異なる第三のエネルギーが、日本発で研究されるとも見ている。

 こうした努力の中から、低迷を続ける産業界の新たな地平が見えてくるのかもしれない。