ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
生活保護のリアル みわよしこ

自民圧勝で生活保護受給者は絶望の淵に
元公務員ワーキングプアが語る貧困世帯の悲惨な現場

――政策ウォッチ編・第7回

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【政策ウォッチ編・第7回】 2012年12月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

政権がどうなろうが、変わりようのないことがある。日本に、生活保護水準以下の生活をしている貧困層の人々が、今、この瞬間も、数多く存在していること。人が生存し、生活を営むためには、一定の資源が必要であること。

今回は、長年、公務員として教育に携わってきた1人の生活保護当事者の経験を紹介する。「貧困」とは、いったいどのような問題なのだろうか?

自民党政権は「終わりです」
生活保護当事者の絶望と希望

平田さんの住む町の12月の風景。厳冬期には、最低気温がマイナス25度に達する

 12月16日の衆議院議員選挙は、自民党の圧勝となった。

 北海道、札幌から高速バスで2時間程度の場所にある、人口2万人ほどの町に住む平田明子さん(仮名・43歳)は、選挙結果を受けて、「終わりです」と語る。

 平田さんの住む地域には、産業らしい産業がない。約2万人規模のその自治体全体の生活保護率は3%程度であるが、平田さんの住む地域では、住民の15%程度が、生活保護を利用している。求職するにも、通勤するにも、自家用車の保有制限が大きなハードルとなる。

 平田さんも、生活保護を利用している1人だ。その平田さんの自民党への視線は、どのようなものだろうか。

 「自民党、気持ち悪いです。今の自民党は、戦争やりたがっている人たちの集団だと思います。もう、保守でさえありません。自分たちが生き残りたいだけなんでしょう」(平田さん)

 自民党が考えている生活保護政策については、どうだろうか。

 「頼むから、生活保護への締め付けや基準切り下げは、やめてくれ、と言いたいです。生活保護基準での生活が、どれだけ苦しいか、たぶんわかっていないでしょう。本当に実行したいんだったら、実際に生活保護基準の生活をしてみてほしいです。寒いところ、それも生活扶助が最低額の『三級地の二』の地域で、1ヵ月、車なしで、公営住宅にでも住んで、生活保護基準の生活をしてみてください。その生活ができるかどうか。できないでしょうけど」(平田さん)

 現在、平田さんは、生活保護を利用して、精神疾患の治療に専念している。しかし、働く能力や意欲がないわけではない。短大を卒業した後、公立小学校の教員となった平田さんは、結婚や離婚を経て紆余曲折はあったものの、教育委員会の非常勤職員など、教育に関連する仕事を長年続けてきた。しかし、職場の人事異動をきっかけとして、平田さんはパワー・ハラスメントのターゲットとなった。抑うつ状態となり、休職して回復を図ったものの、回復しないまま、2011年3月に失職。傷病手当金の支給を受けつつ治療を続けてきたが、再度の就労が可能なほどの回復は見られなかった。傷病手当金が支給されなくなった2012年8月からは、生活保護を利用している。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル みわよしこ

急増する生活保護費の不正受給が社会問題化する昨今。「生活保護」制度自体の見直しまでもが取りざたされはじめている。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を知ってもらうことを目的とし、制度そのものの解説とともに、生活保護受給者たちなどを取材。「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

「生活保護のリアル みわよしこ」

⇒バックナンバー一覧