【最新の認知症治療を実践する脳のカリスマが30年超の長寿研究から導いた幸せな生き方】
2010年代には大ベストセラー『100歳までボケない101の方法 脳とこころのアンチエイジング』で100歳ブームを巻き起こした医学博士・白澤卓二医師渾身の自信作『長寿脳──120歳まで健康に生きる方法』が完成。
人間の限界寿命とされる120歳まで生きる方法を提示します。
現在の脳のパフォーマンスを上げて、将来寝たきりや認知症にならずに長寿を目指す方法論が満載です。

【朗報】近いうちに120歳を超える人が出る理由Photo: Adobe Stock

テロメア120年説の違和感と延命ドリーム

 そもそもテロメアの寿命が120年だとするのは、いくつかの計算式を組み合わせて導き出された推論です。「どのくらいの速度で細胞が分裂して、1回の分裂でテロメアがどれくらい短くなるかを計算した結果が、120年になった」ということでしかないのが事実です。

 ゾウとネズミと人の心拍数の話はご存じでしょうか?

 ゾウの心拍数は毎分20回くらいです。そしてインドゾウは70年ぐらいは生きます。その比較対象として取り上げられるのがネズミ。ハツカネズミの心拍数は毎分600~700回くらいです。そしてハツカネズミの寿命は2年ほど。

 ゾウの心拍数に寿命年数をかけ算したものと、ネズミの心拍数に寿命年数をかけ算したものを比較すると、ほとんど同じになります。この2つに加え、亀など他の動物でも計算したところ、一定の方程式が導き出されて、なんとなく腑に落ちたというわけなのです。こういった種類の計算を、人間ってしたがるんですよね。

日進月歩の医療技術や予防医学を武器に

 心拍数と寿命の計算をもとにした「テロメアの寿命120年説」は、私にはどうにも現実味が感じられません。とはいっても私たちが意志を持って生きている限り、計算上の法則とは無関係にうまくいくことはあるでしょう。

 日進月歩の医療技術や予防医学をもってすれば、近いうちに120歳を超える人が出てくる可能性は十分にあると思っています。

 現代社会では、CTやMRIなどの最新機器を駆使して、さまざまな病気を見つけられます。病気が見つかれば治療できます。あるいは以前は不治の病だったがんでさえも新しい治療方法が生まれて治るものが増えています。生活習慣病は予防に徹すれば避けることもできます。感染症も、医学の歴史の中で薬が開発されて絶滅したものもあります。「寿命を延ばす」方法についても、世界中で研究が続けられています。

本原稿は、白澤卓二著『長寿脳──120歳まで健康に生きる方法』からの抜粋です。この本では、科学的に脳を若返らせ、寿命を延ばすことを目指す方法を紹介しています。(次回へ続く)

監修 お茶の水健康長寿クリニック院長・医学博士・医師 白澤卓二
1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大学院医学研究科博士課程修了。現在、お茶の水健康長寿クリニック院長。