韓国で43%という高いシェアを持ち、世界100ヵ国での使用実績を持つCUメディカル社製のAED。2012年に日本法人を設立し、国内展開を本格的にスタートした。

朴省顯(パク・ソンヒョン)
代表取締役社長

 AEDは、不規則な収縮を繰り返す心臓に電気ショックを与えて、心臓が本来持っている機能を回復させるための装置だ。心臓突然死の主な原因となる心室細動を感知し、電気ショックを与えて正常な動きに戻す。2001年に韓国で設立されたCUメディカルシステムは、AEDの開発・製造に特化した企業であり、AEDのこの感知から電気ショックに至るコア技術に定評がある。

「創業者である羅學祿(ナ・ハクロク)社長は、自らが技術者であり、独力で心室細動を感知する技術を確立したのです。AEDの技術者として今でも現役で、日々研究や開発に注力し、技術改良にも直接対応するなど、常に製品の安全性や品質管理システムの向上のための努力を続けています」と語るのは、日本CUメディカルシステムの朴省顯(パク・ソンヒョン)社長だ。

1度の電気ショックで回復を目指す

 同社の一般向けのAEDである「アイパッドNF1200」の場合、心停止を起こした人に電極パッドを貼り付けると、自動的にその人の心電図を取り、人それぞれの電気抵抗を感知して、150ジュールという電気ショックエネルギーを心臓に与える。

「他社製品の多くは、電気ショックのエネルギーを徐々に大きくしていくエスカレーション式を採用していますが、当社製品では1度の電気ショックで心臓の機能を回復させることを考慮して、電気ショックエネルギーを150ジュールに固定し、可能な限り短時間での処置による救命を図っています」(朴社長)

 心室細動による心停止では、AEDや胸骨圧迫などによる除細動までの時間と病院退院に至る可能性は、1分ごとに約7~10%低下していくといわれる。実際に生還したデータを見ると、AEDによる電気ショックの回数は複数回ではなく1回が多いという。同社の製品は、豊富な実験データから150ジュールという数値を導き出し、回数を減らすことで、効果的な処置を施せるように設計されているのだ。