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金融市場異論百出

「水は持ち帰ってください」
中国の贅沢品消費・最新事情

加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長]
2013年4月1日
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 上海の川の上流で、豚の死骸が1万頭以上捨てられていたのが発見された。先日の上海出張で聞いたが、市民の間では「水道水飲んでる?」と聞く代わりに、「豚スープ飲んでる?」と聞くブラックジョークが流行っている。

 「水はどうぞ持ち帰ってください」。中国の大手金融機関でエコノミストとの議論が終わって帰ろうとした時に、先方からそう言われた。飲みかけのペットボトルのことである。翌日行った別の場所でも、帰り際に全く同じことを言われた。これは前述の川の話とは関係なく、習近平政権の方針の影響である。中国政府は、過剰に派手な消費、飲食を控えるように国民に指示している。貧しい人々が多くいるのに、官僚や富裕層が贅沢三昧をしているのはけしからん、というスタンスである。その流れで、無駄は削減しよう、という運動が妙に広がっているのである。

 その影響は贅沢品にも及んでいる。スイスの時計産業にとって中国は最大のお得意様である。昨年は中国向けが世界への輸出の3割強を占めていた。しかし、今年1~2月は前年比14%のマイナスだ。高級時計をはめて見せびらかすのはまずい、という「空気」が特に官僚の間で存在している(ただし、スイスの高級時計業界はしたたかであり、先進国や他の新興国での人気が高まっているため、全体の輸出額は前年比プラス)。

 中国の調査会社、胡潤による富裕層(資産1000万元以上)意識調査の「贈答品に好むブランド」では、昨年(男女合計)は中国高級酒のマオタイが5位、スイスの高級時計ロレックスが9位。今年は男女別に集計されたが、男性の場合、マオタイは13位、ロレックスはランク圏外となった。ゴージャス過ぎるものは敬遠される雰囲気になっている。

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