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シェア日本一!のニッチな企業

「太陽光を自分の手で作りたい」と起業して大成功
セリック

森野 進 [経済ジャーナリスト]
【第11回】 2009年9月28日
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推定シェアはなんと9割超!

 セリックは、世界で最も太陽の光に近い照明灯を作る会社だ。1984年、大手電機メーカーの技術者だった佐藤泰司・現会長が、“太陽光を自分の手で作りたい”一心で独立起業。退職金で購入したマンションを担保に入れて運転資金を確保し、夢の実現を目指した。

 光源を見つめ続けて失明しそうになるほどの苦心の末、87年に最初の製品を完成。その後、今日にいたるまで人工太陽照明灯を作り続けている。ニッチ市場のためライバル会社はほとんどなく、推定シェアは9割を超える。

 佐藤氏が太陽光に興味を持ったのは中学生時代。夏休みの終わりの夜に宿題の絵を描き、その絵を翌朝屋外で見たところ、思っていた色とまったく違う色に見えた。その後、照明の光と太陽光とでは光の中の色の成分が異なるため、同じものでも色が変わって見えることを知る。

 独立の直接のきっかけは、電機メーカー時代に灯台や船舶のサーチライトに使う特殊ランプ(キセノンランプ)と出合ったことだ。ガスを管の中に封入し、放電して発光させるランプで、太陽光に近い光を出す。佐藤氏はこれを照明灯に使おうと考えた。「当時の仕事内容とはまったく関係なく、自分で事業を興すしかないと思いました」(佐藤氏)。

健康・介護産業への転用に大きな期待

 しかし、実用化には大きな壁があった。キセノンランプは太陽光とまったく同じではないので、光の調整が必要。通常、光を補正するには、ガラスに金属膜を蒸着(金属を加熱蒸発させ、その蒸気を表面に薄膜状に付着)したフィルターを使う。金属膜の種類を変えれば、紫外線や赤外線などを個別にカットすることが可能だ。しかし、当時の常識では、1枚のガラス板に付けられる金属膜は1枚のみ。太陽光の再現には、フィルターを最低でも10枚以上重ねなければならず、とてつもない厚みになった。

 また、フィルター1枚で約15%光が減衰するので、何枚も重ねたら照明としては使い物にならない。「なんとかフィルターを1枚にできないか」と考えた。

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森野進 [経済ジャーナリスト]

日刊工業新聞社の記者、雑誌編集者を経て独立。中堅・中小企業の取材をライフワークとして活躍。著書に『女性発明家の着想に学ぶ』(発明協会)、『未公開ITベンチャーの躍動』(共著・オーム社)、『明日のものづくり』(共著・日経BP社)などがある。


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日本経済を支えているのは、やはり「ものづくり」の底力。当連載では、そのなかでも「ニッチな市場」にスポットを当て、そのシェアNo.1企業をルポしていく。そこには、地味だけれど驚くべき技術力があった。

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