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高橋洋一の俗論を撃つ!

早くも消費税増税の次を模索
財務省「増税体質」がもたらす景気先行き不安

高橋洋一 [嘉悦大学教授]
【第89回】 2014年3月20日
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 20日は、日銀の黒田総裁が就任してちょうど1年である。アベノミクスの中核として、金融政策は大きく変わった。

 具体的には、2%のインフレ目標がしっかりと定められた。これは、それまでの日銀はインフレ目標を否定的に考え結果として金融政策に失敗していたが、それを一変させ、日銀としては画期的なことであった。ようやく世界の中央銀行に周回遅れながら並ぶことができたので、高く評価できる。

 経済状況はどうなったのだろうか。「経済・物価情勢の展望」(2013年4月)では、2013年度の政策委員の経済見通しとして、実質GDPで2.4~3.0%(2.9%)、消費者物価指数(除く生鮮食品)で0.4~0.8%(0.7%)だった(カッコ内は中央値)。

 実質GDPについて、2013年4~6月期から10~12月期までの3四半期の平均は2.0%。2013年度の予想としてはせいぜい2.3%程度で、日銀が1年前に見通した数字には達しないだろう。

 物価については、2013年4月から2014年1月までの10ヵ月の平均で0.7%。2013年度の予想としては0.8%程度になり、この点は日銀の見通しより若干高めと思われる。

 総じていえば、実質GDPには下振れがあるが、物価の許容範囲内だろう。インフレ目標だけを見れば、この1年間としてはまずまずだ。ちなみに、物価連動債から見た予想インフレ率(BEII)をみても、最近時点のBEI(5年)は2.4%程度で、消費税増税の物価上昇寄与分は0.6~1.0%程度と推計でき、これを引くと、1.4~1.8%程度となって、物価面では及第点にあることがうかがえる。

消費税増税に耐えうるか

 ただし、これからを考えると大いに気がかりだ。もちろん、この4月からの消費税増税である。黒田日銀における政策委員の2014年度実質GDP見通しは、1.0~1.5%(1.4%)だ(カッコ内は中央値)が、下振れている実質GDPの状況下で、消費税増税に耐えうるのだろうか。

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高橋洋一[嘉悦大学教授]

1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。

 


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