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金融市場異論百出

乖離する長期金利とインフレ率
追加緩和が孕む金利急騰リスク

加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長]
2014年5月20日
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 今後のアベノミクスにとっての最大のリスクは、長期金利高騰によるショックにあるだろう。

 5月7日の主要国の10年国債利回りは、米国2.6%、英国2.7%、ドイツ1.5%、カナダ2.3%、日本0.6%。一方、直近のインフレ率(3月の消費者物価総合指数前年比)は、米1.5%、英1.6%、独1.1%、加1.5%、日1.6%だ。インフレ率と比較すると、日本の長期金利は奇妙に低いことが分かる。

 日銀は4月末に発表した展望レポートで、インフレ率が2015年度中に2%に達し、翌16年度は2%をやや上回る見通しを披露した。その水準は、今の米英独加のインフレ率を上回っている。日銀の予想が正しいなら、日本の国債の利回りが先行きの物価動向を織り込んで急騰し、米英独加を上回っても何ら不思議はない。

 しかし、そうはなっていない。現在の日本の1%台半ばの物価上昇率は、円安による輸入価格の上昇で支えられている。為替レートが最近の水準で今後も推移すると、夏場以降は円安によるインフレ押し上げ要因が剥がれる。債券市場参加者の多くは、秋以降、インフレ率は低下するとみている。

 日銀と債券市場の短期的なインフレ予想の相違はしばらく続くだろう。しかし、中長期的スパンで考えれば、少子高齢化による生産年齢人口の減少が急ピッチで進行する中、政府は公共事業のアクセルを踏み続け、日銀は大規模な緩和策を継続する。海外経済も上向きで推移している。潜在成長率が上がっていくイメージを人々が持てない中でそういった環境が続けば、(来年かどうかは別にして)どこかでインフレ率は2%を超えるかも、と債券市場参加者も警戒せざるを得なくなる。

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