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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

資源価格下落は日本への未曾有のボーナス

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第46回】 2016年1月21日
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 世界経済が大きく動揺している。この変化を利用して、日本の実体経済を成長させることができる。

 それは、資源価格が下落しているからだ。これは、日本経済に対する未曽有のボーナスである。物価の引き下げを通じて、これを実質消費の増加につなげることこそ、新しい時代の成長パターンでなければならない。

資源価格下落は経済にマイナスではない
日本は最も大きな利益を受ける

 現在、金融市場で生じている様々な動向は、経済活動にマイナスの影響を与えると考えられることが多い。

 しかし、日本の立場、とくに消費者の立場から見れば、まったく異なる評価が可能だ。

 株価の下落が、株式保有者にとって大きなマイナスであることは間違いない。しかし、実体経済の立場から見れば、さして重要なこととは思えない。

 これまで、日本の株価は、実体経済の動きとは乖離して上昇していた。だから、下落局面になっても、実体経済には大きな影響を与えない。

 原油価格をはじめとする資源価格の下落も、マイナスであるという意見も多い。しかし、資源価格下落が経済に与える影響は、国や産業によって異なる。

 産油国にとっては間違いなくマイナスであるし、新興国は資源輸出に依存している度合いが大きいから、大きなマイナスの影響を受ける。経済は減速し、これまで投資されていた資金が流出するため、株価が下落し、通貨は弱くなる。

 アメリカの場合は、やや複雑である。アメリカは産油国であり、石油の輸出国である。とりわけシェールオイルについては大変大きなマイナスの影響だ。他方で、アメリカはガソリンの大量消費国であるから、ガソリン価格の低下はアメリカの国民にとっては望ましい。

 日本は資源輸入国なので、ほとんどの企業活動や消費者の立場から見て、プラスの効果がある。

 とくに通勤を自動車に依存している日本の地方都市にとっては、大変大きな利益である。ガソリン価格が低下すれば、その分を他の商品に回すことができるだろう。

 日本は資源価格の下落によって利益を受ける典型的な国だ。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

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