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金融市場異論百出

財政健全化こそが消費を刺激
欧州目線では不思議な国日本

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2010年7月7日
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 カナダG20で先進国は大筋において財政赤字削減方針を示した。しかし、財政健全化の積極性に関しては、欧州と米日とで温度差が見られた。

 これを「成長か? 財政再建か?」という二項対立としてとらえる見方が日本では多い。

 しかし、欧州で感じられるニュアンスは異なっている。一般の有権者のあいだにリカーディアン的な「中立命題」(財政赤字は将来の増税を招くため、政府債務拡大による景気刺激策は効果がないという考え)を信じる人が多いのだ。

 6月22日に英政府は付加価値税引き上げ(20%へ)や大胆な財政支出削減案を発表した。米経済学者のスティグリッツは、オズボーン英財務大臣はイデオロギーで予算を決めており、英経済を悪化させると激しく批判している。

 だが、英「テレグラフ」紙(6月27日付)の世論調査では、「緊縮予算で今後数年の景気はどうなるか」という問いに「悪くなる」と答えた英国民は28%にとどまった。

 「変わらない」は19%、「よくなる」はなんと47%もいた。厳しい緊縮予算下でも景気は悪化しないと見る人が計66%もいるのだ。

 ケインズが生まれた国なのに、意外にケインジアンが少ないのが今の英国である。ロンドンのタクシー運転手に増税や補助金のカットについて聞いてみると、「いやだけどほかに道はない。これ以上財政赤字がふくらんだら大変だ。政府は借金をもう増やせないんだろう?」という答えが返ってくる。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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