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社外プレゼンの資料作成術
【第12回】 2016年3月25日
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前田鎌利

プレゼン開始30秒以内に「共感」を得る方法
――100%結果が出るプレゼン資料の作り方

営業、説明会、発表会……。社外プレゼンはビジネスパーソン必須のスキル。ところが、多くの人が苦手ではないでしょうか?そこで、ソフトバンクで孫正義氏のプレゼン資料をつくった著者が、秘伝の「社外プレゼンの資料作成術」を全公開。本連載では、その「シンプル&ロジカル」かつ、相手の心を動かす、「超」実践的なノウハウをお伝えします!

「30秒以内」に共感を生み出す

 社外プレゼンは「つかみ」が命──。
 プレゼン冒頭で、相手を惹きつけられなければ、ほぼ100%結果を出すことはできません。少人数が向かい合う営業プレゼンであれば、礼儀上、最後まで付き合ってはくれるでしょうが、身を入れて聞いてはくれません。多数の参加者を相手にする説明会プレゼンでは、まったく聞いてくれない人も出てきます。なかには、スマホをいじり始めたり、寝始める人もいるでしょう。

 だから、1枚目の「つかみスライド」で相手を惹きつけることに知恵を絞らなければなりません。そして、開始30秒以内には、「そうそう、それが問題なんだよ」などと共感してもらう。これができるだけで、プレゼンの成果は大きく違ってくるでしょう。

 では、そのためには、どうすればいいか?
 これにも「型」があります。さまざまなバリエーションがありますが、最も効果的なのは「数字」と「質問」。この2つで、相手の心を惹きつける「型」をマスターするといいでしょう(下図参照)。

 まず、人間には文字よりも数字に反応する習性があります。皆さんもそうだと思います。「売上倍増」と「売上2倍」。パッと見た瞬間、どちらに反応しますか? 「売上2倍」のほうに目がいくはずです。

 また、数字がもつ具体性も強い印象を与えます。たとえば、「情報漏洩のリスク大」と言うよりも、「情報漏洩の賠償200億円」と数字が入ったほうがギョッとしますよね? このように、数字によってリアリティと迫力が生まれるのです。この数字の力を、「つかみスライド」で使わない手はありません。

 「質問」も効果的です。当たり前のことですが、誰でも質問をされれば考え始めます。単に話を聞くという受動的な姿勢から、自分の頭で考えるという主体的な姿勢が生まれるのです。その結果、プレゼンを「自分事」として考えてもらいやすくなるわけです。

「数字×質問」が最強のイントロ

 下図をご覧ください。

 これは、「電子カタログ」を販売する会社の営業プレゼン資料のイントロ部分です。営業先は「紙カタログ」を使っている会社。そこで、電子カタログに切り替えることで、紙カタログの印刷費等のコストを大幅にカットできることを訴えようとしています。このイントロでは、数字と質問を掛け合わせています。 

 まず、冒頭で「5000万」という数字だけを表示したスライドを示すとともに、口頭で「何の数字だと思いますか?」と質問をします。すると、聞き手は「なんだろう?」と考え始めます。相手が「思考モード」に切り替わったタイミングで、次のスライドを表示。「1年間 紙カタログコスト」という答えを示すことによって、相手の感情を揺さぶります。「紙カタログにそんなにお金がかかってるのか……」と危機感をもってもらうことを狙っているわけです。

 さらに、3枚目の「5000万円で20人の追加採用」というスライドでたたみかけます。このスライドを見れば、誰だって「カタログに5000万円をかけるくらいなら、営業戦力を充実させたほうが売上は上がる」と直感するでしょう。そこに、「売上を上げたい」という願望が生まれるわけです。このように感情を刺激することができれば、プレゼンを聞く姿勢が前のめりになってくるはずです。

 私は、この「数字×質問」が最強のイントロだと考えています。これまでつくった社外プレゼン資料の8割以上は、この「型」でつくっていると思います。非常に強力な「型」ですので、ぜひマスターしてください。

 また、「質問」だけで、イントロをつくることもできます。
 下図をご覧ください。

 これは、ショップ・ビジネスの経営指導をするコンサルタントのプレゼン資料。2つのショップの外観写真を並べて、「どちらのショップの売上がいいと思いますか?」と質問を投げかけるわけです。ショップ経営者であれば、この質問には必ず反応します。このように、相手の興味・関心に応じた質問を繰り出せば、一瞬でプレゼンに惹き込むことができるでしょう。

「感情」から逆算して「数字」「質問」を決める

 ただし、単に相手の興味をひく「数字」「質問」であれば、何でもいいわけではありません。イントロの目的は、相手の課題を明確にすること。そして、その課題にまつわる「感情」を刺激することです。だから、この目的から逆算して「数字」「質問」を考える必要があります。

 先ほどの「電子カタログ」の場合はシンプルです。「紙カタログによる高コスト」という課題に対して、「もったいない」という不満や、「もっと効果的にお金を使いたい」という願望を持ってもらうのがイントロのゴール。ですから、冒頭で「5000万」というコストの数字を打ち出せばいいわけです。

 では、家事代行サービスを営業するプレゼンの場合は、どのような「数字」「質問」が効果的でしょうか? ここで刺激したい感情は「家事をこなすのは苦痛だな」「家事から解放されたいな」といった感情です。その感情にスムースに導くような「数字」「質問」は何か?

 私なら、たとえば「生涯洗濯時間」という概念を打ち出すでしょう。たとえば、ある研究所の調査によると、一生涯のうち洗濯に費やす総合計時間が「約2年」だったとします。これは、かなりインパクトのある数字です。そこで、下図のようなスライドをつくります。

 まず、「2」という数字だけを表示しながら、「これ、何だと思いますか?」と質問をします。そして、2枚目のスライドで「これは、生涯で洗濯に費やす時間の合計なんです」と伝えれば、まず、その意外性に驚くはずです。そこですかさず、3枚目のスライドを示せば、「一生のうち2年もつらい洗濯をするのか」といった不満や、「洗濯に費やす時間を減らしたい」という願望が、強烈に沸き起こってくるはずです。

 このように、「感情」から逆算して「数字」「質問」を考えると、非常に効果的なイントロをつくることができるでしょう。これに成功すると、聞き手の反応が劇的によくなることを実感されるはずです。ぜひ、知恵を絞っていただきたいと思います。

前田鎌利(まえだ・かまり)1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。「飛び込み営業」の経験を積む。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。各種  営業プレゼンはもちろん、代理店向け営業方針説明会なども担当。2010年にソフトバンクグループの後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1 期生に選考され、事業プレゼンで第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして幾多の事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料づくりも多数担当した。その後、ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍。2013年12月にソフトバンクを退社、独立。ソフトバンク、ヤフー、株式会社ベネッセコーポレーション、大手鉄道会社などのプレゼンテーション講師を歴任するほか、全国でプレゼンテーション・スクールを展開している。著書に、『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』(ダイヤモンド社)。著者公式サイト:http://www.kamari-maeda.com/

 

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前田鎌利 

まえだ・かまり 1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。2010年に孫正義社長(現会長)の後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして幾多の事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料づくりも数多く担当した。その後、ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍。著者のプレゼンテーション術を実施した部署で、決裁スピードが1.5~2倍になることが実証された。2013年12月にソフトバンクを退社、独立。ソフトバンク、ヤフー、株式会社ベネッセコーポレーション、大手鉄道会社などのプレゼンテーション講師を歴任するほか、全国でプレゼンテーション・スクールを展開している。


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