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岸博幸の政策ウォッチ

高浜原発運転差し止めの論拠はここがおかしい

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第29回】 2016年3月18日
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関西電力高浜原子力発電所

 3月9日に滋賀県の大津地裁が、関西電力高浜原発第3、4号機の運転差し止め仮処分を認める決定を下しました。これを受けて関西電力は稼働中の3号機の運転を停止させましたので、当然ながら原発反対派はこの決定を大絶賛しています。

 しかし、原発再稼働賛成派の私が言っても額面どおりに受け取ってもらえないかもしれませんが、今回の地裁の決定には、原発への賛否の次元を超えて、非常に深刻な問題が三つ含まれているように感じられます。

仮処分に必要な“急迫の危険”は
証明できていたか

 その一つは、今回の決定は運転中の原発を止める初の司法判断でしたが、仮処分で停止させるのが果たして適切であったかということです。

 仮処分とは、正式な裁判の判決が出るのを待っていては、それまでに事情や環境が変わってしまい、裁判で勝っても原告が守りたい権利を保全できないという場合に、取り敢えず裁判に勝ったときと同様の状態を確保することです。

 従って、本件に関して言えば、高浜3、4号機の再稼働禁止の仮処分を認めるに当たっては、高浜原発を運転させていては裁判が終わるのが待てない位に差し迫った危険が存在することが必要となります(“保全の必要性”)。

 しかし、大津地裁の決定を見ると、原告の主張と裁判所の判断の双方において、保全の要件となる“著しい損害または急迫の危険”があるという点については抽象的に述べられているだけで、とても十分かつ説得的に説明されているとは言えません。

 本当に大震災の発生が切迫していたり、また原発の安全性に明らかに問題があるならば、原発の運転を停止させるのも当然です。しかし、そうした危険性の証明なしに原発停止の仮処分を認めるというのは行き過ぎではないでしょうか。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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小泉政権時代に竹中平蔵氏の秘書官を務め、数々の構造改革を立案・実行した岸博幸氏がテレビや新聞が決して報じない知られざる政治の裏側を暴きます。

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