民主党代表選で菅直人首相の続投が決まった翌日、政府は外国為替市場で円売りドル買い介入を開始した。市場の一部には「菅政権続投なら介入はしばらくない」と思い込む向きもあっただけに、いいタイミングだったと思われる。円高の勢いを和らげる介入の範囲なら、海外から批判は当面出てこないだろう。しかし、過去において介入で市場のトレンドを変えられた事例はあまりない。結局は世界経済の動向が焦点になる。

 中国経済の勢いがこのところ再び強くなっている。新興国経済に助けられ、米国経済の失速懸念は8月前半頃よりやや後退気味だ。短期的には円高圧力がいったん弱まってもいい時期がきていると思われる。ただし、中長期的な議論になると、米国を中心に欧米諸国のバランスシート調整は今後も続く。中央銀行には金融緩和期待がかかる状況が続きやすい。